今日は、23日天皇誕生日そしてクリスマスイブ前日で、朝から穏やかな光が部屋に差し込んでいる。前日までの冷たい空気が温んでいるのが室内からでも感じることが出来た。何時ものごとく家族より一足早く起きて、リビングで「さて何をしようか?」と思案していた。
何もなければ、そのままバイクで繰り出したい思いもあるにはあったが、カミさんにも配慮してそろそろ“徳を積む”必要も感じていて、一緒に買い物に出かけても良いなと思いながら何時もの休日の朝のごとくコーヒーを淹れて独りで飲んでいた。
クリスマス直前の休日をデパートに出かけ、クリスマス商戦の賑やかな様子を見物するのも嫌いではない。デパ地下の豪華な食べ物の陳列棚を見て回りながら晩御飯を思案するのも良いし、1Fのメインフロアで若いカップルが幸せそうに腕を組んで歩いているのをチラ見するのもオジサンとしては微笑ましく感じられてよろしいw。
私の中では、カミさんを連れてデパートへ出かけようと決めていたのであったが、しばらくしてリビングに入ってきたカミさんに尋ねると、意外にも「別に欲しいものはないけれど」とのこと、やや間をおいて「例の朝市に行ってみようよ」との応答あり。
“折角、徳を積む覚悟が出来ていたのにw”と想いながらも、カミさんのエコノミカル・フレンドリーな応答に納得し、午前9時30分頃、寝坊の野郎どもをそのまま残し、二人でクルマに乗り込み自宅を出発。
例の朝市とは、昨年イチロウに教えて貰った広島市北部郊外にある農産物の直売所であり、以前カミさんを誘ったのだが、その時にはスルーされてしまった経緯があった。何故今更ながらに彼女がそこに行こうと思い立ったのか、その理由は尋ねなかったが、私自身は是非再訪してみたいと思っていたので、全く異存がなかった。
国道2号線を東進し、広島市街地から県北部に伸びる国道54号線に入り、北に向けてクルマを進める。やがて旧市街地を抜けて山陽高速道路の高架を抜けると、安佐南区の梅林地区付近となる。それまで、子どものことなどをしきりに話していたカミさんが無口となった。しばらくおいて、「ああ山肌が削られているね。この辺りはよくニュースに出ていた。本当に大変だったんだよね」などとポツリと言う。そうこの辺りは大雨災害で大変な想いをしたのだった。「あれ以来この辺に来てなかったわ、今年は大変だったよね。まだ帰れない人たちもいるだろうね」などと隣でしんみりと呟いていた。
クルマは、そのまま54号線を北上し可部バイパスに入る。次第に山間が狭くなり広島平野の最奥部に差し掛かる。前方に長い上り坂の高架橋が見えてくる。前方にノロノロと上がっていく軽トラがあり多少イライラとさせられるが、よく見るとシルバーマークが車体後部につけられていて、“ああ地元のご老人か”と分かり、気分を鎮めて付き合う事とする。
やがてその高架橋に続いて、緩やかな坂道を登りきると、景色は一変し雪国となっていた。広島市郊外の八千代町界隈に入ってきている。八千代町を境にして急に海抜は上昇していて、地形は台地上となっているらしくちょっと可部町を抜けてこの地域に入ると不思議な感覚を覚える。
景色が一変したのをカミさんも多少の驚きを覚えたらしく、「へー」なんて言っている。
“よしよし、驚いてよ”と内心ニンマリとする。目的の場所までは、もうしばらくのはずなのであるが、辺りの雪景色に“こんな状態で今日はちゃんと野菜などの農産物が売り出されているのかしら”と、新たな不安が生じる。また、段取りの悪さをカミさんから糾弾されるのではないかと一抹の不安を覚えるが、こうなったらポーカーフェイスを決め込むしかない。
しばらく雪景色を眺めてクルマを走らせると、ああちゃんと直売所は開いていましたw。現地到着時刻、午前10時30分頃。
駐車場にクルマを停めて、「さあさあ」とカミさんを直売所に誘導しようと思ったら、先にさっさと降りて、直場所前に陳列しているしめ飾りなどを物色している。
その後、店内に入ると心配は杞憂に終わり、大根、白菜、ネギ、白ネギ、春菊、小松菜、シイタケ、マイタケ、シメジなどなど、新鮮な野菜が豊富に陳列されている。カミさんが独りで野菜を物色している間に、店内を一周。“鹿肉、猪肉・・・・、おお山の恵みありますねえ。日本海産ブリ、アマダイの干し物・・・・、日本海の海の幸もあるあるw。それから、この直売所で感動するのは、地元の女性の名前入りのお惣菜やお菓子で、ヨシヨシと妙に納得。八千代町の皆さんが、この直売所の経営に力を注がれているのがよく分かる。ここは地元愛に溢れた直売所なのだと独り感情移入し感動してしまう。“愛と感動の直売所なんだよな”と私が勝手に思っているのである。
やがて安くて良質の野菜類を沢山買い物カートに積み込んで、レジに並んでいるカミさんに合流した。カミさんも納得顔であった。
少し車内で休息を取った後、来た道を引き返す。
カミさん曰く「こんな雪の時期に、あんなに野菜を売っているとは思わなかったね。ああ、この辺りハウスもあるね、そうかそういうことか・・・・。地元のヒト、偉いね」だって。
やがては、再び先ほどの坂道に差し掛かり、遠くに広島市街地の建物が少しだけ見えた。
「楽しかったよ。また子どもが出て行ってふたりきりになったら、こうしてドライブがてらゆっくりと来るのも良いね」と、牧瀬里穂ちゃんに似ても似つかないカミさんがポツリと言ってた(笑)。
“ヨシヨシ、目出度くお金はかけずにひとつ徳を積みました(笑)”
~つづく~
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