2017年8月31日木曜日

やまなみ街道クライムライド2017に参加してみるの事③


CP⑤道の駅 掛け合いの里」から「CP⑥道の駅 とんばら」129㎞地点

 この後も私が先行しイチロウが後方に続いた。なるべく同じケイデンスを維持し一定のスピードで走行するように心がけたが、ここから道路は長い登坂側が二車線となり勾配もきつくなり始めた(三瓶山付近の登坂道よりもなだらかだが)。必死で失速しないようにペダルを廻していたが、次第にイチロウが遅れ始めていた。“あれ、イチロウの膝の故障は深刻なんだな”と分かり、途中で待つかそのまま自分のペースで走行するか大いに悩んだが、進むにつれて自分のペースも明らかに遅くなってきたため、このまま走行していてもイチロウに追いつかれるだろうと判断し、そのまま走行する。時々後方を振り返りながら走っていると、次第に誰かに追いつかれる。イチロウか?と思うも別のサイクリストで、ウムムと悩む。2人ほどパスされてそのまま走っているもイチロウは追いついて来ない、アレレと想いながら目の前の登坂道と格闘しているとついに登坂車線が消えてピークに到達。暫くすると平坦になり、やがて長く暗いトンネルを抜けた後に下り坂となり、CP⑥道の駅 とんばらに到着した。疲労はピークであったが、ゴールまではあと10数キロとなっており気分的には安堵し始めていた。チェック受付を済ませて、その横で支給されていた地元のミニトマト、種のないブドウを数個ずつ貰った。どちらも氷水で冷やされていて、疲れた体には誠に旨し。トイレも済ませて、大量の汗を拭きながらイチロウを待つもまだ来ない。幾人かの参加者がCP⑤に到着し、あれはイチロウか?と確認するがいずれも違う。やや手持ち無沙汰になり、大会運営係のヒトに「このトマトとブドウは地元産ですか?」「ゴールまではまだ厳しい坂は残っていますかね?」などとどうでも良いことを聴いたりして過ごしていた。ここで多少混乱したのは、渡されたマップで計算すると残り11㎞の筈なんだけど、誰かの会話では残り15㎞ということを小耳に挟んでしまって正確な距離が分からなくなったこと。11㎞でも15㎞でも大差ないので気にしないのだけど。それにしてもイチロウが遅い。「こりゃマズいね、どこかで立ち往生しているのか?携帯で連絡を入れてみるか?」と迷っていた処、やっとイチロウが登場。「待たせて悪かった。うむむ、膝の調子が悪い。ここでリタイヤするからさ」とのこと。「ああ、そうなのか。付き添わずに悪かった」と私が応じている間に、彼はテキパキと大会運営係の処で出向き「リタイヤします」と申し出て、係の人も「ああ、そうですか。では・・・」とイチロウを誘導しミニバンに彼と彼の愛車を入れて出発してしまった。“ありゃりゃ・・・・”イチロウがリタイヤするなんて全く想定していなかったのだけれど、物事はあっさりと進行し、イチロウのリタイヤ手続きは済んでしまった。やや呆気にとられる想いで眺めていたが、急に我に返り、「ここから先は独りでいくのか?そうかそうか。」と目の前の現実を取りあえず引き受けて自転車に跨いで出発した。



CP⑥道の駅 とんばら」~「ゴール 道の駅 赤来高原」

この後のゴールまでは緩やかなアップダウンの連続であった。これまでの厳しい道のりを考えるとそれほどの難所はなくマイペースで走行、途中私に追いついた男性と交互に引っ張りながら走行した。午後345分頃ゴール。後半から先ほどの男性を引っ張る形で走行してきたからか、その男性が笑顔で「最後はひっぱってくれてありがとう」と声をかけて下さる。私も笑顔で「こちらこそありがとうございます。楽しかったですね」と応じた。大会運営係の処に出向き、最後のチェックを受け完走証を受け取る。チェックの几帳をちら見すると、大体半分くらいレベルでゴールしたみたいだった。

それからイチロウの姿を探したが、朝ブリーフィングが行われた場所付近で発見し再会。イチロウ「いやあ、済まなかったね。待たせて悪かった。もっと早くリタイヤして連絡入れれば良かったなあ」と。

こちらとしては、二人で走行する時には何時も私が彼を待たせていたので、それはお互い様だと思っていた。膝が故障した程度で深刻なアクシデントが生じた訳ではなかったので、不幸中の幸いだった。無事に家路につけるのだから、それで十分である。

私個人としては、「石見グランドフォンド」のリベンジを果たせた気がしたので十分に満足であったが、イチロウのリタイヤは多少なりともショックで、ほろ苦い後味がのこった。

また後日述べることになるかもしれないが、二人でサイクリング大会に出場するのは今回が最後になるかもしれないな.....。

最後にこの大会の運営に当たった方々に、多謝。素晴らしい景色に素晴らしいサポートに沢山お世話になりました。本当にありがとうございました。





おわり

やまなみ街道クライムライド2017に参加してみるの事②


「道の駅 赤来高原」~国道375号線「Check point(CP)①道の駅グリーンロード大和」

しばらく国道54号を出雲方面に走り、途中から左折して県道に入り、少し上ると国道375号線にむかって左右にワインディングしながら長い下り坂。いきなり気持ちの良い下り坂。“もったいないw” 長い一列で下る。私なりの作戦あり、車間が詰まったところは危険回避も兼ねて、少しずつパスしていく。後方で、イチロウが笑っているw。スタートから12㎞地点に最初のcheck point(CP)「道の駅 グリーンロード大和」に到着。目論見通り、到着した参加者はまだ少なく、列に並ぶことなくチェックを受ける。支給されたコーラと、地元の夏野菜の入ったゼリーを摂取する。このゼリー誠に美味しかった。ここではあまり休まず/下り坂だったもので疲労感全くなし、トイレを済ませると出発。

CP①道の駅 グリーンロード大和」~「CP②志津の里 うぐいす茶屋」40㎞地点

 しばらく国道375号線を美郷町に向かって概ね平坦な道を走る。イチロウは私の後方を走行し、私のペースに合わせてくれる。美郷町から三瓶山中腹標高500m強までの登り坂となるが、登り坂ではペースが落ちると予測していたため、平坦部は自分の中では早いピッチで走行しなるべく他者を引き離しておこうと思った。美郷町付近の交差点で375号線から右折して登坂路に入る。勾配はきつくないが、とにかく長い直線が多い上り坂を約10㎞程度上る。途中4人程度パスしたのだけれど、4人程度パスされたw。イチロウには登坂が始まる頃から置いて行かれてしまった。流石はイチロウ、前方に見える他の参加者をもパスしていくのが遥か後方から見えた。長い上り坂を黙々とただひたすらにペダルを廻し、どうにかピークまで達すると、左右に高原の畑らしい風景を楽しみながらやがては下り坂に差し掛かる。重力に任せて坂を下りながら、ゆっくりとペダルを廻し脚を休める。うぐいす茶屋に到達すると、イチロウが駐車場の端に座り休息を取っていた。ここでも休息は10分と決めて、支給された飲料水コーラとミネラルウォーター、アンパンを摂取する。陽射しがきつくなり少しずつ暑さを感じ始める。

CP②志津の里 うぐいす茶屋」~「CP③立久恵峡 わかあゆの里」67㎞地点

 なだらかな下り道が続く。イチロウと二人でタンデムを組んで全開でペダルを廻し下って往く。途中で一人私たちに追いつきパスしたヒトがいたので、イチロウが「3人で交代で引っ張り合いながら行くべ」と私を追い越し、続いてその方をパスしたので、私もイチロウに続いたが、その方はついて来られなかった。そのまま私たちのペースは上がったが、イチロウは更にピッチが上がりついには私も引き離されてしまった。しかし下り坂を気持ちよくペダルを廻し降りて来たので、イチロウに引き離されても気落ちすることなくw、CP③立久恵峡 わかあゆの里に到着することが出来た。このCPでは、飲料水コーラ(こればっかw)、ミネラルウォーター、バナナクレープを支給され、美味しく摂取。周囲は渓谷になっており、美しい景色で目に優しかったが、先を急がねばならず、支給されたものを腹に収めてトイレを済ませ出発。

CP③立久恵峡 わかあゆの里」~「CP④道の駅 さくらの里きすき」93㎞地点

しばらく下り坂が続き、イチロウと二人で下って往く。出雲市街地に近づくにつれて、次第に平坦路となる。両脚に少しずつ疲労をそして腰が少々痛くなり始める。出雲市付近で、3人組の先行者が視界に入り、川べりの道で追いつくが、先方もそこそこのペースで走行しており、そのヒト達に次のCPまで牽引してもらうことにする。雲南市に入り国道54号を飯南町に向かって非常に緩やかな勾配を上り始めた。時刻は正午を過ぎて気温は上昇し30℃越え、そろそろ飽きて来たなと感じる。CP④道の駅 さくらの里きすきに午後1時過ぎに到着したか、飲料水とおにぎり3個支給して貰い、やや長めの休息を取る。大量の発汗、両脚の疲労。コーラを貰ってミネラルウォーター350mlを携帯していたサプリと共に飲み干したら、胃が膨れ勿体ないことにおにぎりがふたつしか食べられなかった。こりゃヤバいね、この先30㎞強続くダラダラ坂を克服できるか不安になったので、施設内にあったコンビニでボトル用に入れる氷と共にウィダインゼリーを購入し更に栄養を腹の中に仕込む。トイレを済ませ、午後130分頃にCP④を出発。

CP④道の駅 さくらの里きすき」~「CP⑤道の駅 掛け合いの里」111㎞地点

ここから多分クルマに乗っているとあまり気が付かいほどの緩やかな勾配をひたすら上がって行った。気温はグングンと上がっている様子でとにかく汗をかく。後方を走るイチロウに「この先は夫々のペースであがろうや。遠慮せずに先に行っていいぞ」と声をかけるが、何故かイチロウ「いや良い。マサキについて行くわ」という。「そうか」と言いつつそのまま走る、目立たないほどの緩やかな勾配なのだが、確実に脚には負担がかかっていて、とにかく自分に合ったケイデンスを維持し失速しないように心がける。雲南市街地を離れると、交通車輛はまばらになって、その面でのストレスは然程感じずに済んだ。ただ、とにかく陽射しがきつく背中が熱い、時々ボトルに入れたミネラルウォーターを後ろ首にかけて冷却を図る。黙々とペダルを漕いでやがて、CP⑤道の駅 掛け合いの里に到達。CP⑤では、ミスト噴霧器があって、背中に当てると誠に気持ち良し。支給されたデザートと飲料水を飲んでぶらぶらしていたら、スタートポイントで見かけたヨーロッパ系外国人さんが到着したところに出くわしたので、私が「おつかれさま」と声かけると、真っ赤になった顔を歪めるようにむにゃむにゃと応じた。“日本の夏はさぞ蒸し暑かろう”と同情す。こちらもそこそこ疲れが出て、ハムストリングに張りを感じていた。イチロウに声かえすると、彼もやや渋い顔をして「どうも膝をやっちまったらしい」と言っている。“そうだよな、結構前半の登坂と下り坂で飛ばしていたもんな”と思ったのだが、その時は“とは言っても大丈夫だろう”と高を括っていた。


つづく

やまなみ街道クライムライド2017に参加してみるの事①


2017.08.20に開催された「やまなみ街道クライムライド2017」にイチロウと共に参加した。

どの大会に参加する場合、いつもそうなのだが、大会日が近づいてくると、当日の天候が気になり、ネットで長期天気予報を検索しヤキモキとした気分を味わうことになる。この度も大会2週間前あたりからネット上の「10日間天気予報」を毎日のように眺めていたのだが、当日の天気は5日前頃までは「曇り時々雨」となっており、降水確率が最高値で60%にまで上がった。雨天の中での自転車走行は危険であるため、当日が雨になるようであれば、参加をキャンセルするつもりでいた。
 
5日前になっても当日の予報は基本的には好転する気配がなかったため、予約しておいたビジネスホテルをキャンセルとした。宿泊をキャンセルするとなると、行動予定の自由度が増す訳で、無理に大会に出場することに拘らなくても良いかと思われ、念のために雨天時の場合の代替コースを他所に求める作業をした。天気図で見ると、太平洋高気圧の張り出しが弱く、日本海側には大陸性高気圧が居座って、二つの高気圧群の間に大陸から来る前線が西日本に移動してくるだろうという予想となっていたため、イチロウの提案で代替コースはなるべく南に求めようということになり、イチロウが愛媛県の山間部140㎞程度のコースを設定した。

結局のところ、天気予報は大会日が近づくにつれて変更されて2日前には開催地は曇り時々晴れ、降水確率20%となり、せっかく参加費も既に払っていることだからと、この大会に予定通り参加することに相成った。そうなれば、ホテルをキャンセルしたのは惜しかったと思われたのだが、スタート/ゴール地点の島根県飯南町は広島市内からクルマで2時間程度の距離であり、当日の受付が午前8時までであることから、朝6時に出発すれば十分に間に合うだろうということになった。

当日念のために午前530分にイチロウの自宅前で待ち合わせる。齢を重ねるにしたがって早起きが苦にならずw。同時刻に予定通りイチロウと彼の愛車を拾って、出発。中国道を経て三次からは国道54号線を使って島根県飯南町へ。当初所要時間を2時間程度とみていたが、途中の交通状況はスムーズで、スタートポイントの同町内の「道の駅 赤来高原」には午前7時過ぎに到着してしまった。

他の参加者はまばらであり、イチロウが自嘲気味に「何おっさん二人張り切ってんねん、と言われそうだな」と言い苦笑いを浮かべるが、全くその通りだったw。ゆっくりと、ジャージに着替えて、自転車をクルマから下ろし組み立て、準備が整ったところで、大会受付をし、更に手荷物を預けて、トイレを済ませたのだが、それでも出走前のブリーフィングまでは30分以上も時間が余り、仕方がないので、駐車場の縁のブロックに腰を下ろして他の参加者の様子を眺める。

時間が経つにつれて、少しずつ他の参加者がスタートポイント近くに集まってきたが、何れの参加者の日に焼けて引き締まった体型をしてなかなかの猛者ぶりを示しているように見えた。中には、身長190㎝以上で長いコンパスを持ったヨーロッパ系外国人が二人いて如何にも速そうであった。私が「流石に真夏のハードなコース設定に走ってやろうと出てくる奴は、みんな凄そうだな。みんな速いんだろうなあ」と隣にいるイチロウに小声で話すと、イチロウ、ややのんびりとした口調で「そうなんよ、マサキ。こんなところに出てくるヒト達はみんな速いの」「だから比べちゃいかんのよ・・・・」などと言っている。そんな事を言われたものだから、私の緊張感は更に増し気力が急激に萎えていくのだった。

更にはイチロウが「結構俺たちこの中じゃ、ベテランの部類なんだろう。ほれそこの白髪交じりのおっさん、年聴いてみたら案外俺たちとどっこいどっこいなんだろう」と目の前を自転車を引いて歩いている男性に私の注意を向けた。「ええ、そうっかなあ。どう見てもあちらさんの方が年上に見えるけどな」。イチロウ「あのね、俺たちも他の人が見たら十分におっさに見えているのだからな、その辺マサキも十分に自覚しろよ」だと。トホホ。

確かに、辺りにいる参加者を見ると、30代から40代が多く、50代以上に見えるヒトたちというのは少なかった。それと、大会の参加者は募集400名に対して、実際の参加者は200名強のようであり、それなりに自信のある人達が参加しているようだった。

“そうか、この大会に参加するのは無謀だったかなあ。”去年5月の石見グランドフォンドでの大惨敗の悪夢の再現になってしまうのか? そこまで悲観的な境地に陥ると、他の参加者が近県から集まった脚自慢の猛者のように益々見えてしまい、スタート前からモチベーションが萎えていくのであった。

そんな事を思いながら過ごしている間に、午前8時のブリーフィングとなった。大会運営の代表者からの挨拶に続き、飯南町町長の挨拶、国交省松江事務所長の挨拶があった。彼らのお話によると、高速道路の松江道が開通して以来、国道54号の交通量が減ってしまい、同国道沿いの地方公共団体としては危機感を抱いているから、こういったサイクリング大会を後援し、少しでも多くのお客さんに来てもらいたい、国交省の地方局も自転車が走行しやすいように専用の線を引いたりして協力するよとの事であった。“その話よーく分かりました。”

続いて、運営代表者から走行中の注意事項が発せられた。天候は良いだろうけれど、午後から気温が35℃前後まで上昇するだろうと思われる、ちょうど参加者にとっては後半の国道54号の坂道を上ってくる時間帯と重なるからな、前半無理して飛ばすなよ、後半の登り坂に向けて余力を残した走りをしろよ。各自途中で暑さ対策に気を配れよ、途中でしんどくなったら無理せずリタイヤを申し出るんだよ、などの説明がなされた。“了解~無理せんけんね。”

午前830分予定通りスタート。各自思い思いのポジションからスタートできるのであるが、私とイチロウは参加者の真ん中あたりでスタートを切った。事前よりイチロウからは、「この度のペース配分はマサキに任せたからさ」と言われていたので、私が前方に出てその後をイチロウが走行する隊形となった。



つづく