2017年3月14日火曜日

びわ湖一周ロングライド2017~長浜を食べて歩く①~

今回初めて知ったのだけれど、長浜も旧市街地の街並を美観地区のように残して観光に力を入れているようである。そしてしばらく歩くと、訪れることを前々から楽しみにしていた翼果楼があった。




イチロウ・ジロウが3年前に初めてびわイチに出場することになって、その時私も物見遊山のつもりで長浜に一緒について来たのだが、諸々の事情で私だけが長浜入りが遅くなってしまった。先に到着していたイチロウ・ジロウ達は長浜名物のものを私が到着する前に食べつくしてしまって、私はその分け前に有りつけなかった。その中にこの翼果楼のサバそうめんなるものがあって、私としては大変悔しい想いを残した。翌年は私もびわイチに彼らと共に出場することになったのであったが、その時は私の大チョンボ~サイクルジャージなどを忘れ、急遽彦根のスポーツ品店に立ち寄って購入する~があり、長浜入りが大変遅れてしまい、またもやサバそうめんを喰いそびれてしまった。



三度目の正直、三年越しの片想いとしてのサバそうめんだった。



満を持して出向いた翼果楼は古い町家をそのままに店舗にした様子で、引き戸の入り口を入ると、土間があり、そこから一段上がって座敷があり、各所にテーブルが設えてある。奥野テーブルに案内してもらったのだが、聴いて想像していたものとは違い、なかなか風情のある建物で、なんだか感動してしまった。座敷の座卓に着くと、迷わずビールとサバそうめん、そしてイチロウ推奨の鮒の子まぶし(ニゴロブナの洗いの切り身にフナのタマゴをまぶしたもの)を注文した。




まずは、鮒の子まぶしが前菜のごとく運ばれてくる。私は海辺で育ちで、普段からあまり淡水魚を食してこなかったオトコ(私)には、鮒を食べる、ましてやその魚卵まで食べちゃうことに、何かしらの抵抗感があったのは事実なのだけれど、ニゴロブナの切り身は癖がなく淡泊で、そこに塩分の効いた魚卵の組み合わせなかなか乙な味がした



そして、終に待ち焦がれたサバそうめんが運ばれてきた。もっとだし汁がにゅう麺のようにたっぷりあるのかと想像していたが、汁はそうめんが全部吸っている感じでそうめんがべっこう色にテカっていた。その麺の上に、焼いて醤油汁で煮込んだ様子のサバの切り身が乗っている。そうめんは、柔らかくふんわりとした食感でとても優しい味で意外にも魚の臭みがなくて食べやすい。さばの切り身は、醤油辛いものを想像していたのに全然そんな粗野な感じがなく品がある絶妙な味付けであった。これは、本当に旨い。イチロウが初めて長浜に来た時に、これを食べて感動し同じ日にアンコールした気持ちが良くわかったw。長浜に来たら絶対喰わずには済まされない一品だと思う。積年の片想いが成就した満足感で急速に平和な気分になれた。




翼果楼を辞して、再び長浜旧市街地をブラブラと散策した。次に向かったのは、「サラダパン」で有名な「つるや」さん。北国街道を今度は南に下り、しばらく歩くとその支店があった。イチロウの事前の仕込みネタで「サバサンド」なるもの、そして有名な「サラダパン」とその名も「サンドウイッチ」なるものを購入することが目的だったのだけれど、後者2品はそのお店では扱っていないとのことで、そのお店では「サバサンド」のみ注文。このサンド、丸い形をした食パンに焼きサバを解したものにマヨネーズの中に野菜が刻まれて和えてあるソースがかけられたのもを挟まれていた。これを翌朝の朝食にしたのだけれど、これまたとても旨かった。



その後、そのお店のヒトに「サラダパン」と「サンドウイッチ」なる調理パンを駅前のスーパーが取り扱っていることを聴き、それを求めて再び駅前まで歩く。「サラダパン」は、コッペパンを切ってその中に刻んだたくあんをマヨネーズと恐らくマーガリンで和えたものが挟み込まれているパン。3年前にイチロウからすこしお裾分けを貰って食したが、その時はあまりピンと来なかった。「サンドウイッチ」なるものは、先ほどの薄切りの丸い食パンに薄いハムとマヨネーズ味のソースが挟んである調理パン。折角のことなのでイチロウに倣い、それぞれひとつずつ購入し3日の日持ちがするようなので、自分へのお土産とした。



それらのパンをホテルに一度置きに帰り、再び北国街道を東西に区画された界隈を散策する。湖魚を扱った魚屋、ガラス細工店、喫茶店、御菓子屋、鮨屋を左右に眺めながらぶらぶらと当てもなく縦横に歩き回った。ところどころ現代風の建物に置き換わっているものの、古い町家作りの建物が現存し、古くからの味わいのある街並みが残されていた。そう、この街は北国街道の宿場町として古くから開かれた街だったんだね。




午後4;30を過ぎて、長浜の市街地の東側にある山―伊吹山の残雪が西日に照らされて赤く染まり始めた。自然と脚が伊吹山側に向いて、威厳のある山塊全体を眺められる地点まで歩きたくなった。長浜駅から向かって東側に位置する大通寺、そして長浜八幡神社を通り越して、2車線の南北の道路を横切ると、ところどころ畠と農家風の住宅が残る地区に入った。




辺りは次第に暮れ、冷たい空気が体に凍みてきたが、赤く染まった残雪を頂きに残す伊吹山の稜線がしっかりと見え、ある満足感と安らぎのようなものを感じていた。しばらく我を忘れて伊吹山に見惚れていたのであるが、ふと辺りを見回すと、周囲には人家が立ち並んでいるのにもかかわらず人影もなく生活音もしない静寂があり、微かにただ水の流れる音が聴こえてきた。よく見るとこの辺りの家々の間には水路が張り巡らされていて、この地方が水郷であることを想い出させてくれた。しずかな早春の湖北地方の夕暮れ風景がそこにあった。


(つづく)

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