琵琶湖1周ロングライド2017 148㎞の走行を無事完走し、私とイチロウはホテルで荷造りと着替えを済ませ、夕食までの時間を再び長浜市の商店街にてブラブラとして過ごした。午後4時過ぎの商店街は観光客がまばらで静かな佇まいがあり、本格的な観光シーズン入りは長浜曳山祭りのある4月からであろうと思われた。
長浜を含めた湖東地方は何度訪れても良い処だと思う。古い面影を色濃く残す水辺の街並、出会うヒトの訪問者に対する暖かな人情、風土や人情の表現と思われる上品だけれど優しく丸い味わいの料理の品々。馬鹿の一つ覚えみたいだけど、「往く春を近江のヒトと惜しみける/ 芭蕉」の句が脳裏に蘇る。近江地方には、大阪や京都とは違う落ち着いた情緒があり、旅の者を和ませてくれる雰囲気がある。来る場所であり、またここから北に西に東に旅立つ場所なんだろう。
午後5時30分に、これまたイチロウが事前に予約してくれていた近江牛専門店「せんなり亭橙」さんに赴く。疲れを癒すために最後にすき焼きを食べて帰ろうということになっていた。
玄関を入り上がり座敷の一室に通された。ちょっとイチロウが写っている写真しか残していないので、部屋の様子を写真でお示しできないのが残念なのだけれど、床の間に金色で中心が丸く切り取られた、如何にも羽柴秀吉さん好みを意識した掛物が掲げられていて、それは全く厭味でなく華やかな印象を持つ一室で大変面白かった。世話をしてくださる店の女性が、穏やか中にも気さくな応対をして下さる方で、「この辺りは年に2回くらいは大雪になりましてね。雪下ろしが大変なんですよ」などと長浜の様子を話してくださった。イチロウは、なぜか旅先では話し上手になり、上手に合いの手を入れたり適度に質問を入れたりし、その場の和やかな雰囲気を保ってくれる。私は、そんな両者のやり取りを頷きながら眺めていた。
二人でそれぞれにノンアルコールビールを注文し、すき焼きを待ちながら、恒例の反省会を始める。
私にとって今回のびわイチは2度目の出場で、コースを知っていたので自分なりのペース配分で走り切ることが出来た。イチロウ・ジロウと比較するから、自分のヘタレ具合が目立ってしまうのだけれど、一般の方々と走ればそんなにもヘタレにならずに済んで結構イケてたと思うw。イチロウ・ジロウの自転車走力は既に上級者クラスなのであって、彼らと比較すると辛くなってしまうが、私も初級よりやや上のクラスには入れているのではないかなと勝手に思った。ちょっとゴーマン気味に言ってしまうと、びわイチコースはそろそろ卒業しても良いのかもしれないな。 そんなことをイチロウに語った。イチロウも「うんうん」と応じてくれて「今日は調子よかったな。最後も結構早く走れていたよ。もうマサキはもう少し上を目指さないとな」などと語ってくれた。
しばらくすると、すき焼きの用意が出来て、先ほどの女性が最初の一枚の牛肉を焼いて給仕してくれた。それぞれにその一枚の肉を溶き卵の中に浸して口にし、思わず「旨い!」と顔を綻ばせたw。この近江牛肉、これはベジタリアン以外の誰もが旨いと認めるブランド肉だろうから、これ以上は書きませぬw。家で食べるすき焼きも良いけど、こういう名店で“よそ行き”のすき焼きに憧れがあったしw本当に旨いよね。
先ほどイチロウに「びわイチ」はそろそろ卒業だなとつい言ってしまったけれど、そうすると近江に来る口実が無くなるか。そう言ってしまった後で、何とも言えぬ寂寥感が残った。びわイチに来ることを目的にやって来たのか、近江に来る口実として「びわイチ出場」を利用していたのか、自分の中では明瞭な答えはないのだけれど、でも強いていうならば、やっぱり私にとっては後者だったように思う。
前回も書いたのだけれど、私は近江偏愛主義者なのです。早春の近江地方は旅人にとっては、味わい深く捨てがたい魅力があるのです。ああ、やっぱりこれからもやって来たいところだ。そういえば、まだイチロウたちには近江八幡も見せてないしなあ、あの街の良さも奴らに知ってもらいたい。うーん、どうすべか……..。
※ 後日イチロウと雑談した折に、びわイチの想い出に話題が及び、「琵琶湖1周ロングライド」は卒業としても、もう一つ上の「センチュリーライド」に出場しても良いのではないかと提案があった。
そう云えばそうだった、まだその手があった。私自身もステップアップしても良いよな。そうだ、わが愛車をアルミフレームからカーボンフレームにして…..,それからそれから、今シーズンは山坂道を走ることを意識して、など新たなるモチベーションが湧いてきたぞw
たらふく近江牛肉によるすき焼きを堪能し、「せんなり亭橙」さんを辞す。とっぷりと暮れた長浜商店街をホテルまで辿り、預けた荷物を引き取って、いよいよ午後6時50分長浜発の琵琶湖線に乗るべく駅に向かう。
大変充足感を感じつつ、この度の私的「琵琶湖一周ロングライド」の旅はこの辺りおしまい。今回の旅も大変楽しかったし、大袈裟に言ってしまえば人生における命の洗濯とエネルギーの再充填をさせて貰った。
おわりに大会関係者の皆様、長浜で熱くもてなしてくださった方々、そして企画・コーディネート一切を何時ものように取り仕切ってくれたイチロウに深く深く感謝申し上げます。
またイチロウとどこかに出かけるべしw
(終わり)
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