これらのチョコレートは、バレンタインデーに職場の同僚からいただいた所謂“義理チョコ”という奴で、勿論これだけ貰ったというのを自慢したいがために載せた訳ではない。
ご存知のように、バレンタインデーに女の子が好きな男の子にチョコレートを渡す習慣というのは、神戸あたりのチョコレート菓子屋さんがプロモーションしたもので、いつの間にか全国に広まったりしたらしい。50過ぎのオッサンにとっては、小学校の高学年ぐらいからその習慣を知っていたから、個人史的にも40年以上のお付き合いというか傍観していたことになる。
恥ずかしながら、学生時代を通じて一度もバレンタインデーにチョコレートを女の子から義理チョコなるものも含めて貰ったことが終ぞ1度もなかった。全くもって女の子からモテなかった野郎ということになるのだが、そういえばクリスマスに女の子とデートしたこともなかったから、本当に女の子とは無縁の思春期・青年期を過ごしてしまった。
小学校では、クラスで人気者の男子が、中高になると夫々に女の子と付き合っている男子がチョコレートを貰い、まんざらでもない顔をしているのを眺めていたことになる。正直なところ、多少のコンプレックス意識もあっただろうことも否定しない。
しばらく時代が下って、長男がまだ幼稚園年少組だった頃、2月13日の晩に、「なんでなんか知らんのじゃけど、明日女子がチョコレートをくれるらしいから、それも何人もくれる言うから、リュックサックを持って行かんといけん」などと言い出した。家内と顔を見合わせて、笑いを堪えていたのだったが、いくらなんでもリュックサックが必要なほど貰えはしないだろうと本人が寝てしまった後夫婦で笑いながら話した。
当日、本人は張り切ってリュックサックを母親から用意して貰い登園したのであったが、その日の夕方、本人に成果を尋ねると、本人は「一個も貰えなかった…。」と涙目で応えた。
“ああ、こいつもどうやら、父親と同じ道を辿るんだなあ”と可笑しくて笑いをこらえていたのだが、あとで家内から聴くところによると、幼稚園が終わった後、2-3のお母さん方からお断りの電話があって、それぞれの女の子が長男向けにチョコレートを用意して登園したのだが、同じ組の男子に目聡く見つけられて横取りされたwとのことで、結局長男の手元に届かなかったとのことであった。どうも、ぼんやりした奴だから、分け前にありつけなかったということらしいw。
更に時代はしばらく下って、ここ最近のことになるが、どうもバレンタインデー事情というものが、昨今は変わってきていて、家内や年頃の女の子を持つ知人によると、最近の女の子はバレンタインデーにはチョコレートを中の良い同性の友達と分け合うらしく、男子に渡すという行為はいつの間にか廃れたらしい。“へー、そんなものかねえ”と不思議な感じもするし、最近の思春期・青年期の男子・女子の事情はエライ淡泊なものになったものだと思う。確かに、20代の男性・女性を対象にしたアンケート調査でもそれまでに一度も異性と交際したことのないヒトが結構な割合でいるらしい(ボクも、かつてはその一人だったのだがw)。“彼氏作るより、女友達といる方が楽しいし~”なんていう子が増えたとも聞く。
確かに、その考え方にも共感する部分もあるのだけど、翻ってみて50代のオッサンが己の若い頃を振り返って、10代・20代前半の頃って、オトコも女の子も夫々に“彼氏や彼女が欲しい”ともうちょっと積極的だったような気がする。なんか女の子もギラギラというか、彼氏を作ることに積極的だったような、恐らくは同世代の周囲からそう急かされているような気配があったような気がする/ むしろ私のようにずっと女の子に縁がなかった奴の方が少数派だったような気がするのだが。
“義理チョコ”なるものもいつの間にか死語になってい、職場の女性が男性同僚に渡すというのも少なくっているという。これは、その方が良いよね。いただく方としてはなるべくご負担はかけたくない。わざわざそのグループの代表のヒトが、どこぞのチョコレート売り場に行って、価格と内容を吟味して購入しておき、2月14日に合わせてそれを職場まで持って来て、各個人に目立たないように手渡してくれる。代表者の立場に己がなったら、一抜けしたくなるもの。
ただし、わざわざ「来年からもう要らないから、絶対にくれるなよ」と強く断るのも変なような気がするし、ましてや1年に一度のことだから強く拘っているわけでもなし、毎年チョコレートを頂いて、はたと「今日は2月14日だ」と再認識するのであった。ただ、職場でのコミュニケーションの媒体としてチョコレート菓子を頂くことは素直に感謝しており、ホワイトデーには(ああ、こんな習慣もあったなあ)家内に急き立てられて、お返しのお菓子を用意していたりする。
私の職場の同僚の平均年齢が高く、平均年齢は40~50歳くらいであろうか。どうも“義理チョコの風習”も自分を含めた前後20歳のレンジのオジサン・オバサンの間の習慣に収束していくのかもしれない。きっと、そうなんだねw。
それにしても、バレンタインデーにチョコレートを女の子が同性の友達に渡そうが、男の子に渡そうが、おばさんたちがおじさんたちに渡そうが、はたまた、お母さんが家族に渡そうが、結局のところチョコレート菓子屋さんが儲かる訳で、この風習を根付かせた神戸のチョコレート菓子屋さんって、本当に偉いんだなあ。
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