2019年11月30日土曜日

小さな学校の小さな同窓会2019~同窓会本編(1)~

112316;30頃に、大人の遠足班の面々を無事に会場のクレイトンベイホテルに送り届け、そのまま私も同ホテルにチェックイン。割り当てられた一室にたどり着いたのが16:50頃だったか。


「シングルルーム」とレセプショニストから聞いていたのに、実際に通された一室はダブルベッドルームだった。先ほど前払いした金額と考え合わせると室内の設えも大変素晴らしく内心驚く。幹事モトムラの交渉力に脱帽する。“モトムラ、やるねw!”

同窓会開始予定まで1時間程度あり、シャワーを浴びても良かったのだが、目の前の清潔そうなリネンに覆われたベッドに吸いこまれてそのまま寝てしまいたい衝動が起きて、しばらく葛藤。その葛藤についに負けてベッドに横たわったものの、されども我が眼は冴えに冴えて眠れそうもなく。結局17;45頃までベッドでゴロゴロと過ごした。開始時間が迫り意を決して服を改め、会場となる3Fのバンケットルームに下りたのが、17;55くらいだったか。

会場受け付けには、見覚えのある女性が座っていて、「お久しぶりです。いらっしゃいませ」と。モトムラの妹さんで、今やコウイチの奥さんになっているヒト。彼女は、私たちの2年後輩でもあった。わー、わざわざ手伝いに来てくれていたのですね。このヒトとは、数年前にイチロウ、コウイチと私の3人で、西宮で開催されたナベサダのコンサートに聴きに行った際にも一緒に同行してくれていた。物静かで控えめだけれど目配りの利く賢い女性だと思った。“やったねw、コウイチ!”実は、高校時代の時には私と文化部で一緒していたのに、愚かなる私めはこの女性とも一度も話さずじまいだった。

そしてこの度の再会でも、時候の挨拶から「いつもご主人には今でも大変お世話になっています」等ときちんと挨拶をするべきだったのに、「ああどうも、こんには」程度で済ませてしまった。自分の世間的な愛想のなさは何時ものことなのだが、“しまった!”と思ったのはテーブルに着席した後のことで、引返して挨拶するのも大仰な感じがしてしまい、結局流してしまった。奥さんというか妹さんというか後輩さんというか、相済みません。

会場の席は自由ということになっていて、どの席に座ったものかしばらく躊躇していたが、背後からタカヒロやミサキ(!)がやって来る、コウイチが登場する流れとなって、誰が言い出したわけでもなく、そのままひな壇前の右側のテーブルに着席した。そうすると後から続々の同窓生が参集し、私のテーブルには私から時計回りにコウイチ、マサオ、タカコ、サトエ、タカヒロ、ミサキが着席した。

ミサキは誰よりも私が会いたかったオトコ。私が過去出席した2回の同窓会では会えず、最も近しい関係であるコウイチやタカヒロに彼の消息を事あるごとに尋ねていたのであったが、彼らの反応は重く、その反応から私は大変心配していた。

ある時、コウイチがぼそりと「この数年彼の体調が思わしくないようなのだ」と言った時には落ち込んでしまっていたが、この度の同窓会に彼も出席する予定になったと知った時は、言葉に言い表せないほどの喜びと期待を感じたものだ。

やっと私の前に現れてくれたミサキは、髪はシルバーグレーになり元々スリムな体型が更にスリムになったような気もしたが、眼の輝きは当時のままで、大いに安堵した。私だけでなく、集まった皆が彼との再会を心待ちにしていたはずだった。ミサキは、会が始まる前後にかけて、ここ数年の彼の病気との苦闘の断片を語ってくれて、私自身は彼の孤独な闘いをこの度初めて知ることになった。彼の話を聞いているうちに色々な感情が湧いてきたのだが、でもこうして我々の前に出てきてくれた彼を祝福したい気持ちが一番強かった(翌日、ローマ教皇も広島に来るしねw)。

本当はその場で彼をハグしたかったのだけれど、しなかった。その代わり彼の事ついては別項で是非書き記しておきたいと思っている。

コウイチ。彼とは今でも頻繁にSNSで交流していて高校時代のように音楽、クルマなどの趣味話を時折ボケやツッコミを挟みながら交換している。この度は「よお!」と挨拶したきりで、よく考えたらあんまり喋らなかったなあ。でも、このオトコもミサキの話に絡めて別項で触れる。

マサオ。彼は当時常にトップクラスの成績を修めていた真面目なオトコだった。何故か私には優しく接してくれて、高校寮の最初の部屋替えが行われた際には、彼から私に「マサキ一緒の部屋にならないか?」と声をかけてくれた。2度ほど長期休暇の際に私を彼の自宅に招いてくれて、すこし彼のご家族とも遊ばせてもらうことがあり、とても良い思い出になっている。彼は、真面目だけでは収まらないところがあって、高校の何年の時だったか、誰かとの賭けに負けたからという理由で、ある土曜日午後に散髪に出かけトップを紫・金色に染めたモヒカン頭で帰寮し、翌日曜日には坊主頭にして帰ってきたことがあった。私は大変驚いたのであるが、彼自身は何か吹っ切れた感じで楽しんでいたようだった。今私の前にいる彼は、短髪に顎髭を蓄えて若々しさを十分に残していた。彼曰く、彼の子どもはまだ小さく、この度の同窓会参加は家族旅行を兼ねているとのことだった。恐らく彼の原家族と同様に幸せな家族生活を営んでいるのだろう。

ちょっと(どころか随分)前置きが長くなってしまったけれど、18;00の定刻になり幹事役のモトムラが登壇して同窓会の開始が告げられた。モトムラの最初の挨拶は、淀みのない語りで要領を得たもので、私は内心とても感心してしまった。その後の会の流れのマネージメントも遺漏なくスムーズな運びだったし、彼が選んだ会場もそこで供された料理も地域色が反映されて良かったと思う。なんだか知らないうちに立派なおじさんになって、本当に頭が下がるよ。書き忘れないうちに、この場を借りて彼にお礼を書き記しておく。

その後、食事としばしの歓談の時間になって、皆それぞれ自由にテーブルを移動しながら旧交を温めた。私のテーブルの横で、ミサキ、タカヒロ、コウイチ、ウメモト、サトエが各々良い笑顔を浮かべて記念写真を撮っているところを見た時にはある種の感動を覚えたな。彼らは学生時代のバンドのメンバーで、ずっと行動を共にしていたものな。彼らのリユニオンを傍で見ているだけで、こっちまでなんだか幸せな気分になった(いつもの悪い癖で勝手に感情移入してしまっているw

ふと後ろを振り返ると、集まった皆がそれぞれに屈託のない笑顔で楽しそうに駄弁っている。本当に良い光景だ。あれ?、俺その時何していたんだろう。ずっとみんなの様子を見渡して独りで楽しんでいたのかもしれないな。

やがて、モトムラが事前にサプライズがあると予告していた催し物が始まった。この度が初参加になったイツキが持ってきたビデオをみんなで見るという趣向だった。イツキは、当時私から見ると物静かなオトコで男子の間では目立た存在ではなかったような記憶がある。私自身は余り接点なく、モトムラたちとつるんでいた。八ミリを撮るのが趣味で、高校在学中は映画研究会に入っていた。高校同窓会への参加は、この度が初めてで、恐らくモトムラと事前に打ち合わせし、当時彼が撮影した映像のデジタル化したものを持参してくれた。

モトムラの合図とともに、イツキが当時撮影した(おそらく文化祭用に制作した自主映画)映像がスクリーンに映し出された。長い年月を経たネタフィルムをデジタル化したものだから、映像そのものは不鮮明さや乱れを生じさせていたが、そこに映し出されていた面々は当時の同級生だった。フルハタ、タダミ、トリイ、シモヤマなどの明るくてやんちゃな男子たち、当時流行った聖子ちゃん刈りの(もといカット)女の子達。画面の中でみんな元気にはしゃぎ、笑い、きちんと演技をしていたw。みんな可愛かったなあ。当時イツキが監督・撮影を担当し、他の者が出演し映画を制作していたのは知っていたけれど、実際の作品は観たことがなかった。“素晴らしい。イツキいい仕事していますw!”

当時、私はイチロウ、エイイチたちと生物部淡水魚班を構成し、学校の近所の用水路に出かけては、文字通り淡水魚を獲り、それを文化祭に展示するための準備に明け暮れていた。

イツキが残してくれていた映像を眺めながら、「俺って、同じ空気吸っていたのかなあ?あそこで一緒に生きていたんかな」と思わず漏らしてしまった。そうすると、私の正面に座っていたサトエとタカコが「マサキはいたよ。結構女の子に人気もあったんだから」とにっこりと微笑んでくれた。

“サトエちゃん、タカコちゃん、どうもありがとね……”(今日から、この二人もSOL・親戚のお姉ちゃんリストに入れてしまおうw)

目の前の画面に映し出された映像は、あの当時の校内の雰囲気というかみんなの空気感が十分伝わってくるものだった。みんな、自ら選択して飛び込んだ環境を受け入れ、前向きに十分に楽しんでいたんだね。映像の中に私が出ていないことは当然なのだけれど、この映像から伝わってくる皆が共有していたであろう“生き生きとした幸せな空気感”を当時の私はあまり気が付いていなかったし、むしろどこかで受け入れようとしていなかったのかもしれない。

これまで私自身が高校時代を振り返る際になんとなく抱いてきたnegativeな感情は、自分自身のそういう気分の諸産物に過ぎなかったんだな。環境要因がどうのこうのというよりも、自分の内なる要因に過ぎなかった。ただそれだけのことだったんだ。

最近、コウイチがSNSで言ってくれたように、「昔の傷つきや葛藤に罪はない」し、ヒトの記憶は、身体の組織が日々再生されていくように、時を経て少しずつ改変されていって良いものだし、そうすべきものなんだ。イツキの残してくれていた映像を見ながら、その時は上手く言葉にならなかったけれども、自分の記憶の再編が起こっていると同時に心の奥底に残っていた感情の滓のようなものが消えていくような感覚を覚えた。イツキ、良い仕事、ありがとねw!

その後、モトムラの進行で、出席者がそれぞれ短い近況報告を行った。私たちのテーブル以外の席には、オトコは、ウメモト、ヒサシ、トリイ、カイタ、オノ、イツキ、そして女性陣は、チエ、ミカ、ナナコ、マキ、メイコ、ユミコがいて、夫々に近況を話しくれた。

オトコどもは、誰もが良い顔していて味わい深いハンサムな顔になっている。女性陣は、皆それぞれに綺麗な大人の女性になっていたな。

あー!記憶が改変されていくと、色々な事思い出したw。2年先輩で柔道部の先輩だったツカジさんが、ある時食堂で一緒に飯を食べているシチュエーションがあって、前後の脈絡は忘れたのだけど、野太い声で「おいマサキ~、お前らの学年の女子はレベル高いなあ。可愛い子多いわ~。ええなあ」と言っていたっけ。その時、私は「はあ、そうっすか」と曖昧な返事をしたのだが、内心「こっちの畑を荒らすなよ」と思っていたことを思い出した。アー、すっかり忘れていたけど、自分の学年の女子に好意をもっていたのかw。よし、これから女性陣全員、S.O.L親戚のおねえちゃんリストに入れてしてしまおうw!

同窓会1次会は、楽しくも和やかな雰囲気のうちに終わり、前夜メイコが言っていたように次回の同窓会は、彼女とトリイが幹事になって奈良京都で開催されることになったのだった。


(つづく)




0 件のコメント:

コメントを投稿