本日は、4月29日で昭和の日、世間ではゴールデン・ウィークの始まりである。朝から、外は眩しい陽光が射し涼しい微風が吹き、正しく五月晴れ。黄金週間の始まりには相応しい日となった。
私は、前半は職場のお留守をし、後半の3日ほど休みを貰う予定となっている。どうも最近意欲低下、興味減退と言おうか何に対しても心動かず、読みたい本もなく独り祭りをしたい音楽対象もなく出かけてみたい場所もなくという始末で、ただひたすらグータラと過ごす3日間となりそうである。
そういうことなので、ブログネタもさっぱり浮かんでこないのであったが、何故かイチロウが最近このブログの更新ペースがすっかり落ちてしまっていること気にしてくれてい、昨日退社間際に「何書いてもええから、書けよ」と言って去ったものだから、“それならば”とこのブログで取り上げる私の周りのオトコどもの昨今の様子を本人たちの迷惑にならない程度に書き綴っておこうと思い立った。
1.
青年S~5月病罹患前~
今春進学し、神奈川県内で独り暮らしを始めたSは家庭教師のアルバイトを企んだものの、お試し訪問先の親御さんの態度に面喰いそのアルバイトの先行きについて大いに不安を抱いたものだが、結果的には先方から本契約を断られてしまった。そのご家庭の担当になることも不安だったのだが、いざ先方から振られてしまうとそれはそれで落胆してしまい、当初期待していた小遣い収入が得られなくなってしまった事について軽いショックを覚えるのだった。他の家庭教師の口を当たっているのだが、なかなかマッチングする申込者がいないとのことで、大学入学前に抱いた本人なりの夢なり青写真の一画が早くも幻となりつつある様子である。彼のバカ親父なぞは、そんな消息を妻から聞いて、“世に出て仕事の口を得ること、お金を稼ぐことの大変さを彼なりに体験するのも良いことだわい”と密かに想っている。
大学生活については、本人曰く順調との事であったが、本人が予想していたよりも履修科目授業から出される宿題が多く、それらをこなすのが大変で、加えて選択科目で取った教職課程の講義のハードさに参っているらしい。教職課程を選択した者は彼の学年のうち1割も満たないとのことで、他の大多数の学生が楽しそうにキャンパスを去った後或は登校しない日にわざわざ講義を受けねばならなかった。彼はつい先日、母親に電話で話していた折に、教職課程を取ったことを後悔していると口を滑らせたのだが、母親から「教職課程を取るために今の大学を希望した筈」とクギを刺され、思わず二の句が継げなかった。
そろそろ入学して以来1か月を経て“ハネムーン期”が終わろうとしている。
このバカ親父なぞは、そんな話を妻から問わず語りで聴かされながら、ふと昔読んだ新書(作者は忘れてしまった)に「今や大学はサーカス状態」と作者が嘆いた文句を思い出した。“あのセリフは、確か80年代に流行ったセリフだった。最近の大学は学生の就職率を上げようとしているのかもしれず、しっかり鍛えて貰ったら、父親似の、のんびり屋の奴には丁度良いではないか”とぼんやりと想うのだった。
バカ親父としては、知らない分野の学部に入った息子と共通の話題も見つからなくなってしまったが、心内のどこかでは、すがすがしい心もちがあって、その愚息が否が応でも数年後には世間の荒波にもまれることになるのだから、今のうちに本人の思うように大学生活を送れば宜しいと思っている。少しずつ彼らの間での関係性が変わりつつあることを自覚しながら。
先日、バカ親父からお互いの予定を確認するつもりで、「GWは帰省しないのか」とLINEでSに問うたところ、S曰く「3,4,5日と独り暮らし仲間とお互いの部屋を行き来して遊ぶことになったから、帰省しない」との応答があった。
己の学生時代を振り返ってみて、“まあ、そういう年頃か。”と妙に納得したバカ親父であった。
2.Masakius Decakusonalis
コウイチ、イチロウとは学生時代からの友人である。関西地方に住むコウイチと雑談するのに3人でF.B.のグループを作り、日を置かず音楽ネタ、クルマネタ、時事ネタを思い思いに書き込んでいる。この4月はどちらかと云えば、コウイチからのネタ提供が多かったか。
ロックスター・プリンスの死、スポーツカーの話題などが彼から提供されていた。
私なぞは、プリンスはドンピシャの世代なのだけれど当時から全く興味なく、想い出と云えばかつて学生時代に好きだった女の子が「このヒト、キモカッコいいなあ」とほほ笑んでいたくらいで、その当時も今もプリンスさんの音楽性について全く理解も興味も持てなかった。
※あ!その女の子、当時既に「キモ○○」という表現をよく使っていたものだ。やっぱりそのセンスは際立っていたんだなあ。そのネタで「オトナのおとぎ話」を創ることも出来そうだけど、今回の趣旨からは外れるので、また何かの機会に書くことにしようかしら。
クルマについても、コウイチやイチロウのように一家言を持つほどに興味がなく、しばしば彼らの間に交わされる深い話についていけないことも多々ある。
さて、コウイチがある夜にF.B.のグループに、クルマメーカーH社が最近発売した軽オープンスポーツカーを、H社の系列会社から新たにレーシング仕様にして販売されるという記事を持ちだした。彼曰く、その軽オープンスポーツカーの開発趣旨からいって、レーシング仕様モデルなぞは全く見当違いであるとの批判(批難じゃないよ)であったが、当初この私なぞは、コウイチの評論の趣旨が上手く掴めないでいた。
当夜、クルマ事情に一家言のあるイチロウは自分の目下の食べ物事情についてをF.B.に投稿するのに忙しい様子で、コウイチの立てたそのスレッドに対して何の反応も示さなかった。私なりに気を遣って彼の趣旨を十分に理解できないままに相槌を打つべく「やっぱり、本当のクルマ好きは自分でカスタマイズするよね」とか、「そうそう結局クルマ選びは乗る側のセンスが試されるよね」などと、良く言えばニュートラルな、ちょっと悪く言えば毒にも薬にもならぬことを返事した。
そうしたところ、暫くの間があって、突如コウイチから「マサキウス・デカクソナリス」との応答があった。
翌日、「どうもコウちゃんの勘気に触れたようだわ」とイチロウに言ったところ、奴め破顔一笑といった様子で、「あのなあ、お前は適当に返事して流す癖があるからなあ。適当な返事をしてそれで許されているのは、この俺だけだぞ。有難く思え。鯨の竜田揚げ喰わせろと言っても、“まあな”で済ませるし、北海道へチャリを乗りに行こうぜと本気に誘っても、適当に受け流しやがって・・・W」「その罰じゃあ、自分で何とかしろよ」と受け流されてしまった。
“うむむ、思わぬところから突込みが入ってしまったわい。”それにしてもマサキウス・デカクソナリスとは、コウイチめ、よくそんな古いニックネームを覚えていたわい。
大学時代の始めの頃、微生物学の講義があって、色々な細菌、真菌やウイルスの名前を覚えさせられた。体系的にラテン語で命名された微生物を覚えていく時期があった。全く前後関係は失念したのだが、或る日コウイチが「マサキの糞は出かそうだなあ、このマサキウス・デカクソナリスめ!」とヒトの糞を見たことないくせに勝手に私のニックネームを付けた。しばらく、事あるごとに彼は「マサキウス・デカクソナリスめ」と言って笑っていたのであるが、結局のところ、そのニックネームが広がることもなく微生物学の講義期間が過ぎるとコウイチ自身も言わなくなった。書いてしまえば、たったそれだけのことなのであるが、あれから30年以上も経って、この度コウイチの脳裏に浮かんだとは、よっぽど私の返事が腹に据えかねたかw。だけど、そんなにひどい返事じゃないと思うのだけれど……W。
イチロウに「自分で何とかしろよ」と突き放されて彼の援軍を頼めなくなってしまった以上、何とかせねばなるまい。“そうだ、もう一度コウイチ自身に「マサキウス・デカクソナリス」と言わせてしまおう・そちらの方に誘導させちゃおう、奴がもう一度「マサキウス」と言ったならこちらの勝ちにしちゃおう”と勝手に決めて、そのコウイチが立てたスレッドに戻った。
その後、コウイチはH社のレース参戦に対する戦略性について批評(批難じゃないよ)を書き込んで行ったのであるが、私は敢えて聞きかじりの知識を散りばめて、クルマに詳しい者が読んだらツッコミどころ満載の、コウイチの地雷を敢えて踏むような返事をしていったつもりだった。然れども、どうもコウイチの応答は抑制的なモノになってしまって、その後虚しくも20以上の普通の会話が成立。全く友好的に会話が終わったのであった。結局「マサキウス・デカクソナリス」は出ず仕舞いで、私が挑んだ勝負は完全に惨敗してしまったのだったw。
ひょっとしたらコウイチはコウイチで、こちらの撒き餌に気が付いてしまったのかもしれない。流石にあれから30年を経たコウイチもオトナになってしまったんだなと独り納得してしまった。
そんなコウイチに昨日、GWは何をするのだと問うたところ、彼曰く「ゴルフか、家でゴロゴロするか、GWは人込みや渋滞を嫌だから、動かんよ」との事。
“そうだよなあ”と思う。普段忙しく仕事しているのだろうから、「そうすべし」と思ったが、何となく普通過ぎてあの頃のコウイチらしくないと思う。
「もっと遊びなさいよ、コウイチ殿。」
しまった!昨日の自分の立てたスレッドにこう書いて終われば良かった。ついおざなりな返事で終わらせてしまったか……。奴め、デカクソナリスと心の中で呟いているかも知れない。
(つづく)
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