2022年1月29日土曜日

芋づる式音楽探索その2、~アルひとの音楽的肖像~

芋づる式音楽探索は、Al Kooperに向かっている。この度、ネット販売で「Original Album Classics Al Kooper/ Sony Music」なる5枚組のボックスセットを購入し、聴いてみた。

 


1)     I Stand Alone (1969)

2)     You Never Know Who Your Friends Are (1969)

3)     Easy Does It (1970)

4)     New York City (You’re A Woman) (1971)

5)     Naked Songs (1973)

が収録されていた。

 彼が25歳頃から29歳頃の初期5作品であり、私の勝手な想像なのだが、彼がSteve Katzと語らいBlood, SweatTearsの結成を思い立った頃のアイデアが発露されているのではないかと期待された。どのアルバムにもフォークロック、ブルース、ファンク、サイケティック、ジャズ、クラシックの味付けのアレンジが施されてい、多彩なジャンルの曲が収録されていた。どのアルバムも充実した内容となっており、聴いていてとても楽しかった。ああ、これだと固定されたメンバーを維持しながら多彩な楽曲を演奏・録音していくことは難しかっただろうなと思えた。その傍証として、B,STsはその後独自の様式を確立しながら発展していったようだし、これらの5作品とB,S&Tsのその後の作品を聴き比べてみると、グループとしての様式が固定化されていく過程は、当時のAl Kooperがその音楽的志向を表現する上で随分窮屈なものではなかったかと思える(勝手な個人的空想ですw)

ただ、音楽的な時代考証に詳しくないので何とも評価しがたいのだけれど、この5アルバム作品の中には、私のようなロックの知識が乏しいオトコが聴いても、随所にビートルズが用いたストリングス・ホーンアレンジスタイル、インド楽器のシタールを用いたもの、ハモンドオルガンの使用(あのget backで用いられたイメージ)ジョン・レノン的な曲調のもの、ビーチボーイズを彷彿させるコーラスアレンジが施された曲も散見されて、ちょっと暫く考えてしまった。

同時代に次々と世に現れる優れた曲(60年代から70年代の音楽シーンってそういう時代だったのだと思う)から彼自身がインスパイアされたのだろうと想像する。「僕だったら、このタイプのアレンジをこんな風に使うけどね」と考えて制作したかのようであり、そこにはAl Kooperのセンスというフィルターを通ってそれらのアレンジ手法がより綿密に再構築されている印象を持った。

 私のように6070年代のサウンドが好きで、でも個別のアーティストを詳しく聴きこんでいない奴にとっては、この5作品を聴いていると彼の視線を通じてその時代のサウンドを聴き眺めているような感覚を抱く。多分、彼自身が同時代の音楽を沢山吸収し、肯定的に触発されながら自分の音楽に仕立てて行ったのだろうと思う。別の言葉で云えば、彼はどんな音楽も好きなヒトで、優れた音楽に対する嗅覚の鋭いヒトなのだろう。そう思うと、私にはこのヒトが音楽上において好ましい人物のように思えるし、天賦の才能を持ったヒトだと思えた。

 彼自身の音楽的業績について、あの時代において、そしてあれから半世紀経った今日においてどのような評価がくだされたのか、今の私にはその知識はないのだけれど、個人的にはこの5作品を通じて、好きな音楽家のひとりにはなった。

 

さて、芋づる式音楽探索は次にどの方向に向かおうかな。多分、Blood, Sweat &Tearsの1st albumに収録されてAl Cooperが歌っていた、そして私が大好きな曲「Without Her」を作曲したHarry Nilssonに気持ちは向かいそうな感じなのだけれど。その後の展開は明日の心次第だw

 

(つづく)

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