ある日突然無性に立ち食い蕎麦屋に行って、思いの向くままに揚げ物をトッピングしてかけそばを喰いたくなった。そこには、それなりの伏線なり心の準備状態というものがあって、都内に住むコウスケがここしばらく週に3-4回程度、立ち寄った立ち喰い蕎麦屋で注文した品をSNS上載せていた。それを毎回眺めては「いいね」ボタンを押しつつ、都会の勤労者の行動生態の一端を眺めているようで興味深く思っていたのだが、自分の生活行動上、立ち喰い蕎麦なるものを喰う、或は立ち食いソバ屋に出向くという行為は全く縁遠いものとして捉えていた。
私自身は、立ち食い蕎麦屋はほぼ無縁で、以前は上京した折に1人で昼食を取る際に立ち寄ったことが2-3回ある程度であった。利用したのは駅周辺にあるチェーン店で、気軽に利用できるものの特別に美味しいと感じたことがなかった。周囲のサラリーマンらしきオトコどもが手慣れた感じで、券売機から各自好きな揚げ物その他のトッピング、カレーやおにぎりなどのサイドメニューを追加している様子に、私も彼らに習って自分なりのチョイスを選ぼうとしたのだが、どうしても上手くいかず、ある種の敗北感を覚えたものだった。そこにはひとつの文化なり世界があるようで、田舎者にとってその世界に馴染むことが困難なように思われた。
「ごっこ遊び」~その1~
注文;かけそばに、トッピングとしてガンス2枚、鶏のから揚げ2個、そして生卵。
事前に、出し汁(市販の濃縮出汁に醤油、みりん、お酒を少々加えて、自分好みに)、各種揚げ物はトースターで温め、生そばを茹でるために鍋に火をかけるなどの用意をしておく。そこから自分でオーダーを唱えて作業を開始。蕎麦茹で→どんぶりへの麺、トッピング類、最後に生卵、刻み葱を投入し→テーブルに置く行程で、タイムを計ると提供所要時間3分15秒だった。よし、やったねw!
実食:手際よく目標タイム内に準備したことを自画自賛する暇もなく、立ったままで/ なにせ立ち食いですから、実食に取り掛かる。旨し!ガンスは単体で食べるとすこし塩味が強く個人的には抵抗感があるのだが、出し汁と合わせると塩味が落ち着き相性ばっちり、コンビニ購入した鶏のから揚げも悪くない。かけそばとこれらの揚げ物は全く問題なく、十分に成立している。良かった。出し汁も飲み干して完食所要時間は、4分13秒。うん、これだと現場で食べても周囲から違和感をおぼえられないだろう。しかし、誰もいない部屋でひとり立ったままで食べるのは行儀が悪いし、不様な体ではあったw
注文;かけそばに、野菜天(それも簡易なもの)、生卵をトッピング、サイドメニューにカレーライス。このかけそばにカレーライスをサイドメニューとすることを一度やってみたかった。数少ない立ち食い蕎麦屋経験においても、You Tubeにおいても腹をすかせた学生や勤労者が良くやっている技と思われる。幸いにして、数日前に拵えて冷凍保存していたカレーもありタイミングも良かった。野菜天は本来ならばきちんとかき揚げを作りたいところなのだが、私には技量も時間もないため、市販のマルちゃんまいたけ天ぷらなるものを用意した。前回と同じように、出し汁、各トッピング品、沸騰したお湯の鍋、そして解答し暖めたカレー(ちょっとだし汁を加えて、蕎麦屋風を出して)の用意が出来たところで、注文を念じたところで作業を開始。提供所要時間:3分47秒。
実食:蕎麦は市販の生そばを茹でたものだけどそれなりに旨いし、市販の天ぷらもなかなか捨てがたし。カレーは出し汁を加えることで蕎麦屋のカレーっぽくなっている。具沢山になっているのは、蕎麦屋っぽくないがそれはご愛嬌としたい。コウスケがupするお店のカレーの中にはなかなか本格的なものもある様子であるので、昨今の「蕎麦屋のカレー」と云っても、一括りに表することも出来なようである。都内の蕎麦屋を体験し辛い私には、それらのカレーを食して研究できないのが甚だ残念ではある。かけそばのサイドメニューとしてカレーを選ぶのは、オトコどもにとってはよく有る選択肢なのだが、実際に食べてみるとなかなかのボリュームであり、私がこのメニューを日常的にこなすのは無理なように思われた。当日は朝昼食を抜いて準備していたのに、この量を完食するのは大変苦しかった。齢だなあw。一応出し汁を少し残した時点で実食終了とする。(完食)所要時間:7分07秒。目標タイムを2分もオーバーしてしまった。ムムム……。これは熱々のカレーを食べこなすのに手間取ったのが主な要因だった。実際の立ち食い蕎麦屋ではカレーの温度は適度に抑えているのかな、この辺も確認してみたいところだったりする。
“うむむ、彼の言う事解るような気がするな”
立ち食い蕎麦を喰うことは、失われつつある文化へのオマージュでもあると。そうだよねえ。ああ、私も流行り病蔓延が落ち着いたら、上京してコウスケの勧める立ち食い蕎麦屋を巡る遊びを是非ともしたいものだ。それまでは、それらしいメニューを考えて「立ち食い蕎麦屋ごっこ」時々やりながら、その日を待つか……。その日まで待っててよ、立ち食い蕎麦の銘店さん。
(おしまい)
0 件のコメント:
コメントを投稿