イチロウと雑談している時に、「今度どこに行こうか?」という話題になり、白木街道を上って三次に至り、ワニ料理を食べようということになった。
昨年白木街道をバイクで走った時は、確か風にやられて登り坂で参ってしまうなどあんまり良い記憶が残っていなかったのだけれど、だからこそもう一度チャレンジして征服感を得たいものだと思っていた。何せ、もうヘタレキャラは返上するのだもんね。
5月14日、午前6時前に起床し、パンとコーヒー牛乳で軽い朝食を済ませ6時10分頃自宅を出発。
ああ、そうだった。この度から、愛車は一部新しくなった。今までのCinelliのアルミフレームをカーボンフレーム/ superstarにして、タイヤを25㎜と太めのものに交換、その他のパーツは以前のものをそのまま流用し、新車とは呼べないけれど、まあ新しい乗り味の自転車になった。試し乗りしてみると、路面への接地感が抜群に安定して走りやすく、路面からの衝撃も随分と減った印象を持てた。ロングライドでの体への負担感も随分と減る筈で、この度の白木街道ライドでその辺り確かめられるだろうと大変に楽しみにしていた。
イチロウとは、彼の自宅付近のコンビに午前7時に待ち合わせとしたのだけれど、ひとつ長い坂を上って下って待ち合わせ場所に午前6時50分に着いた時には、彼は既に到着していたのには驚いた。
水とカロリーメイトを購入し出発。アストラムライン(新交通軌道)沿いを走り、太田川沿いに出る。イチロウは、比較的ハイピッチで進み、その後をしばらく離れて私が後を追う形となった。
“うむむ、やはりイチロウは早い”4月以来自分なりに練習を重ねてきて、実力は上がってきたと手ごたえを感じていたのであるが、彼との差はまだまだあるなと早くも実感。
太田川沿いに出ると、しばらく土手沿いの道を北に向かって走り途中からは支流の三篠川沿いの遊歩道・白木街道の旧道をポタリングする形で北東に向かって走る。左右の山には新緑が映え、田圃には水が張られ稲の苗が綺麗に植えられていて、目に優しかった。広島市外から数十分も自転車で走れば里山風景が広がり穏やかかな気持ちになれるのだけれど、今回はそういった旅情に浸るのが目的なのではなく、とにかく三次に到達することが目標であり、先を急ぐ必要があった。前回は、旧道を探しながら、そして登り坂での私のペースが上がらず多くの休息を取りながら走ったので、三次に達することが出来ず引き返してしまった。この度は三次に達することが大きな目標としていたので、途中から白木街道の新道をひたすら漕いで前進することにした。
午前8時50分頃、街道沿いのコンビニで休息を取る。店舗に自転車を持たれかけるように置いて店内に入ろうとしたら、初老の女性が近づいて来てやたらと我々を褒める。「兄さんたち格好いいね。自転車も恰好いい。何処から来たの?ああ、広島から。しまなみも走った?
ああ、そうなの。良いねえ。私も若かったら、こんなカッコいい自転車に乗って走るのにねえ」。等、上機嫌で話しかけて下さる。イチロウと私が交互に返事をして、にこやかに別れた。“カッコ良い”といわれるなんざ、滅多にないことなので素直に嬉しかったが、この先もあまり不様な格好を世間に晒さないように気を付けよう。
更に白木街道を進む。向かい風、微妙な上り勾配、途中河川を左右に掛けられた橋でのアップダウン、荒れた路面箇所、追い越してい往く自動車、“抵抗勢力”はそれぞれに現れたけれどひたすらにペダルを廻す・とにかく廻す。
往路でのポイントは2か所、町名はそれぞれチェックしていなかったけれど、太田川水系から江の川水系に変わる分水嶺となる登り坂と、白木街道が国道56号線に合流してまもなくして迎える一山越える登り坂であった。分水嶺となる登り坂は、「あれ?」と思うほどなだらかな傾斜でそれほど負担感なくクリア、もう一つの坂は、その前に川沿いの道をポタリングして下肢を休息させることが出来たので、比較的勾配はきつかったけれどそれなりにクリア。その坂を下って56号線を暫く進み、午前10時20分頃に国道沿いのコンビニで休息と水分補給。気温は26-7℃で空気は乾燥、誠に気持ち良かったが、想像以上に汗をかいているようで、朝購入したミネラルウォーター500mlは呑みほし、炭酸飲料350mlを飲んでいたが全く尿意なし。この先こまめに水分補給を取ることを心がける。
そのコンビニから56号線を外れて、三次運動公園へ向かう市道に入る。コンビニから勾配のきつい坂を黙々と上がり、その後も2-3回のアップダウンを繰り返す。普段であれば、イチロウが先行する筈なのだけれど、どうもピッチが上がらず私の後を走っている。
「どうしたの?」と声をかけると、彼曰く「先ほどから、どうもね、ちょっと体調が思わしくないんだよ」「負荷かけると不整脈が出ているようなんだ」と。大丈夫か?と問うと、「まあボチボチ、様子見ながら行くわ」と返事をした。
これまではどちらかと言えば、イチロウが私の体力を気遣いながら先行してくれていたのだが、逆の立場になるのは初めてで、多少の心配をしながらアップダウンを走ったのであった。後10年もすれば、お互いにガタがきてこういうことも普通になるのかもしれないな。
午前10時50分頃に兎も角も目的地であった三次市郊外にある藤田フーズさんに到着。藤田フーズさんは、ワニ料理を後世に残したいと、若いヒトにも受け入れられやすいワニバーガーなるものを編み出して、好評を博し、今ではちょっとした有名店になっている様子。
言い遅れたけれど、ワニとは鰐でありサメのこと。三次などの中国山間部ではタンパクを補うため、古くから日本海で揚ったネズミザメを食べていたそうな。因幡の白兎の神話に出てくるワニ/ サメです。今でも三次地方では、日持ちのするサメの肉を刺身で食されているらしい。
食料品販売コーナーの横に設けられた食堂で、イチロウはワニ御膳、私はワニ炙り丼、そしてワニバーガーをひとつ注文して分けることにした。ワニ炙り丼は、サメ肉を燻製にしたもの、ソテーしたものが丼の上に載せていた。サメ肉を口にすると一瞬アンモニア臭が鼻についたけれど、その身は白身の淡泊な味で食べやすかった。ワニバーガーも違和感なく食べやすかった。しまったな、サメ肉の刺身が供されるワニ御膳にしておけばよかった。これだったら是非サメ肉の刺身も試しておくべきだった。
私達よりやや遅れて、話の内容から岡山からツーリングでやって来たおじさんライダーが2人入ってきたが、彼らに向かい店主がワニ肉についてあれこれ説明している。また聞きしながら、ワニ肉を頬張っていた。
1時間ほどその店で昼食兼休息を取らしてもらって、午後12時頃再出発。国道375号を東広島市に向かってしばらく南下することにし、適当なところでその国道を右折し白木街道に戻ることにしていた。
復路は基本的に下り基調の道程となるために気は楽であったが、丘陵地、山の尾根を乗り越えるために2-3度坂道を上らなければならなかった。
上り坂道が前に立ちはだかれば、黙ってペダルを廻すのみ。四の五の言わないw。ピークを過ぎれば、新緑に囲まれた下り坂を風を切りながら気持ちよく駆け下りることが出来る。
イチロウは自身の体調を推し量りながら、私の後をゆっくりと付いてきた。その後、不整脈は次第に治まってきた様で体調は回復してきたようだった。
空は快晴で、空気は程よく乾燥、道路端の気温計は28℃を差していた。
甲立町付近で、白木街道に出て、そのまま広島へ向かって走った。何時しかペースは上がり、イチロウが私を引き離して行った。それで良し・一安心。私は、左右の山の新緑を楽しみながら走行。
上深川地区のコンビニで、先に達していたイチロウと合流し、小休止後、その付近から三篠川沿いの遊歩道をポタリングし広島市内に入る。祇園新道付近で、イチロウと別れて、私は太田川沿いの遊歩道を使って広島市街地に入り、帰宅したのであった。
白木街道を使って、往復約150㎞を走行。所要時間は途中休憩も含めて10時間30分弱だった。白木街道を改めて走ってみると、路面が荒れている箇所が多く、そこそこ交通車輛も多いために、走りにくいと言えば走りにくかったな。もっと走りやすい山坂道を探したほうが良さそうだ。
自転車のコンディションは、フレームとタイヤを変えると一段と乗り心地良く疲労度は格段に低くなっていた。益々、ロングライドしたくなった。ただ、途中から後輪タイヤから突き上げるような振動が発生していることに気が付いて、後半ではその振動により腰が痛くなった。これは後日また述べる。
これまではロングライドへのモチベーションとして、見知らぬ土地の景色や風物を楽しむことを優先していたのだけど、このたびは走る事そのものを楽しんでいたような気がする。
それで良いのかどうか分からないけど、うーむ、多分それで良いのだw
さて次はどの坂道を走ろうかw?
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