2016年6月9日木曜日

バカ親父、帰りの新幹線車中で富士と遊ぶ

6月4日、東京でも用事をすべて済ませて午後4時過ぎの東京発博多行きののぞみに乗る。

午前中の雨が上がり、西の空は雲が多く残るものの、空気が澄んで晴れていた。

熱海を過ぎ小田原を過ぎたあたりから、右前方の景色を注視する。

おっ、富士が見える!堪らずスマホのカメラを使って、撮影に入る。このスマホはパネルタッチなので、オヤジの乾いた指先にシャッターが反応してくれないことがある。幾度が失敗しながらもシャッターを切る。切る。画面では、逆光のせいもあり本当に捉えているのかわからず。



隣に乗り合わせた女性は、何気なく自身のスマホをいじっていたが、変なオトコと乗り合わせてしまったと可笑しく思っているだろうな。それでも、そんなことに構ってはいられない。何せ、新幹線に乗って上京する時の楽しみのひとつが車窓から富士山を眺めることなのだが、高校生の頃、2月に初めて上京した際に新幹線の車窓から茜富士を見て感動して以来、まともに富士山を拝める機会がなかった。



社会人になってからは、仕事の用事で上京する際には主に夕方に移動することが多く、富士が眺められる時間帯に新幹線に乗る機会がなかったし、ごくたまにデイタイムに乗れたとしても、富士の稜線には濃いガスがかかってその全容を見るチャンスがなかった。

久しぶりに富士を眺めるチャンスである。西の空に、富士の山影が見えると嬉々としながらスマホのシャッターを押した。最初は、サイレントアプリを使っていたのであるが、実際にシャッターが押せているのか分からなくなり、通常のカメラモードにする。

パシャパシャと車両内にシャッター音が響いている感じであったが、もう構っていられない。


富士見駅通過前から、富士の稜線が綺麗に追えて雄大な全容が車窓に広がっていた。よせばいいのに、車掌が車内放送で「右手に富士が綺麗に観えます」などと告げるではないか!




さっきまで何食わぬ様子を見せていた隣の女性が、私に向かって「あのう、スミマセン。私も1枚撮らせて貰ってもよいですか?」と尋ねてきた。私もつい恥ずかしくなり「(窓を独占してしまっていたことを)ゴメンナサイ。どうぞ。」とシートに背中を押しつけて、女性に車窓を譲った。

「ありがとうございます。」と言ってその女性が微笑んでくれたようなのであるが、私はまだチャンスは残っていると、しばらく車窓に被りつくような恰好で、スマホのカメラのシャッターを数回押したのであった。


やがて、富士を右後方に見ながら列車は橋を渡り、富士の稜線は見えなくなった。シートに座りなおして、自分の撮った写真をチェックした。案の定、そのほとんどが失敗作であったのだが、唯一納得出来たものがこの1枚。




イチロウ、コウイチにF.B.で送ると、意外にもイチロウがこちらが恐縮するほどの大激賞してくれたのであった。

それにしても、富士って被写体としては本当に素晴らしい。失敗作だと思われた写真をアプリを使って加工してみるとそれなりの味わいがあって大いに楽しめた。






ああ、引退したらベレー帽を被ってライカの写真機をぶら下げて、富士の周りを徘徊してみたいものだ。

(おわり)

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