大竹市内のスポーツサイクルショップ・ウエキを緩々と出発した後、我々は国道2号線をなるべく避けて、左側の迂回路を探しつつ広島方面を目指した。ところどころに旧道を思わせる路地があり、古い民家が立ち並んでいる箇所があった。
午後2時過ぎの路地は日差しが強い箇所と建物の陰になりひんやりとした箇所があり、人通りはなく静かな佇まいであった。大竹市を離れると山が海岸まで迫っている場所があり、やむを得ず国道に出てしまうところがあったが、やや西に傾きつつある日差しを受け、東に向かう景色は強い光を浴びて夏そのものであった。
すこし前を往くイチロウは、ところどころ左折して山陽本線を跨いで国道に並行する旧道を探そうとするが、思うように見つからずまた諦めて国道に戻る、そしてまた左折して旧道を探す行為を繰り返した。たらたらと二人のオトコが自転車を走らせる様は、中高生が駄弁りながら当てもなく自転車を漕いでいる行動となんら変わりはしない。
やがて、大野浦界隈から山陽道大野インターへ入る道路へ左折し、その手前に走る旧道を発見、気持ちよくポタリングを続ける。やや古い街並が左右に続いていて、前方の青空にはすじ雲や遠い向うに積乱雲が見えた。少し前を往くイチロウとその空模様と落ち着いた街並みを見ていたら、やおら細野晴臣さんが歌うハッピーエンドの「夏なんです」が頭の中で鳴り始めた。
もう夏の始まりなんだなあと思うと、強い陽射しを浴びて自転車に乗っていることに無上の悦びを感じた。「夏なんです」の楽想のごとく穏やかでリラックスした心もちとなる。
しばらくその道を進むと、山陽新幹線高架下の道路に差し掛かり、低い山に囲まれ左右に田畑が多く残る場所に差し掛かる、周囲の緑は濃くなり季節が本格的な夏を迎えつつあることをここでも感じられた。宮島の対岸に造成された住宅街である阿品台付近手前のコンビニで昼食を摂ることにする。
イチロウが店舗に入りつつ「冷たいうどんか冷やし中華食べたいな」などと呟くものだから、つられて冷やしぶっかけうどんと炭酸飲料を購入。結局彼はそうめんと唐揚げを購入したが、ふたりして軒先に座り込み、昼食タイムとする。誠に旨しw。
昼食を済ませて一息つき、ふたたび出発。阿品台へはなだらかな上り坂を上がることになるのであるが、満腹で気怠くなったコンディションには少々きつかった。坂を上がると、宮島と瀬戸内海が一望出来、誠に気持ちが良いもの、先を急いでいたので写真には撮らなかった。
阿品台を横切り下り坂を降りると、2号線の山側に並行して走る西広島バイパスの廿日市ジャンクション界隈に出た。そろそろ速谷神社に近づいている筈で、スマホで場所を確認しつつ進んだ。西広島バイパスをしばらく広島方面に進み、県道433号線の交わる交差点を左折、なだらかな上り坂を約1㎞進むと、復路の目的地速谷神社に到着。
この速谷神社、Wikipediaによると安芸の国総鎮守の神社で、1700年の歴史を誇るらしい。かつては厳島神社よりも社格が高く、山陽道を往来する旅人が長旅の平安を祈願した由来が多くのこり、現在でも「交通安全の守護神」として信仰を集めているらしい。
木々に囲まれた境内は人影も少なく、落ち着いた佇まいであった。自転車を押して境内を歩き、山門に自転車を置き、本殿にお参り。しっかりと「交通安全」を祈願した。
その後は五日市まで二人でポタリングしながら帰り、その後は夫々の自宅を目指すべく別れた。
自宅に戻ると午後4時過ぎていて、どうも私が居ぬ間に夕食は外食をするという話が決まっていて、シャワーを浴びて着替え、次男が帰宅するのを待つ間、今朝草取りをして見栄えの良くなった庭に水やりをしながら、“贅沢な初夏の1日”を振り返り、自己満足に浸るということをした。
(終わり)
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