2015年6月16日火曜日

とある週末の夫々のポイント稼ぎ


土曜日の晩に、「さて明日の日曜日は何をするべか?」という話になった。特に予定はなく、愚息どもは夫々に予定が入っていたので、夫婦で何をするかと暫し思案した。
 
カミさんより、某大型スーパーチェーン店が隣町に開店するから行ってみないかという提案があり、その日の新聞に折込チラシが入っていたので、「じゃあ、冷やかしに行ってみるべか」ということになった。
 
カミさん、「○○珈琲店がテンナントに入っているから、そこに行ってみたい」という。名古屋出身で、近年急速に全国チェーン展開して話題になっている店で、この近辺では珍しく確かに話題性はあった。ただ、オイラは昨年3月に彦根でコウスケに連れて行ってもらっているから、そこは経験者と余裕があり、やや上から目線で「じゃあ連れて行ってあげよう」などと返事した。
 
当日何時もの時間に起床して、ゆっくりと身支度。チラシによると午前9時に開店するとの事なので、830分頃いそいそと夫婦でクルマに乗り出かけた。海岸埋め立て工業団地の一角にその建物はあり、次々とクルマがその駐車場に吸い込まれていく。開店前ということもあり、難なく店舗入り口付近に駐車スペースを見つけた、時計を見ると845分。早くも多くのお客さんが入り口付近に集まっている。自分たちの事は棚に上げて、“そんなに早くから並んで一体何を求めているのかねえ”などと夫婦で笑っていた。
 
そのうちに開店時間となり難なく店舗内に入れたのだけれど、いざ入ってみると特別に欲しいものはなく何をして良いか分からない。辺りを見回したカミさんが、「開店セール30%オフ、ポイント10倍」なる店内の張り紙を見つけて喜んでいる。「じゃあ、靴でもみてくるわ」と嬉しそうにその場を離れたので、両側に店舗が並んだ広い廊下スペースに設えられたソファーに座り、ヒューマンウォッチングをぼんやりとすることにした。
 
朝も早くから、老若男女が集まって、キョロキョロと辺りを見回しなが歩いている。個人的に一番微笑ましく感じられるのが、年頃の娘さんとその母親の二人連れ。御揃いのような衣装を着て仲睦まじく歩いている。中には「ちょっと、おばさん、その恰好無理違いますのん?」と突っ込みを入れたくなる方も見受けられるが、多分娘さんの趣味なのだろう。はたまた、若い装いの御爺さんが小さい幼児の手を引いて嬉しそうに歩いている。「ははあ、これは多分娘さんのお子さんなのだろう。娘さんから少しは小奇麗な格好してよ等と言われてプレゼントして貰った、ジーンズにカラフルなシャツなのだろうな」、それから若い夫婦の幼児を連れた家族づれ、その光景に在りし日の己の姿を重ねて、勝手に懐かしい想いをいだく。口には出さないものの勝手に妄想を展開し、平和的な光景に勝手に共感させて貰った。
 

しばらくそんな調子でぼんやりと辺りを眺めていると、カミさんが戻って来て「この靴3500円の30%引きでポイント10倍ついたわ」とご機嫌な表情を浮かべている。
 
それじゃあ行くかと移動を開始したが、カミさんは「子供のパンツを買っておこうか。代わりにちょっと試着してみれおくれ」「そう云えば、カバンが・・・・・。」「そうだった。父の日が近いから夏物のクール敷布を買って実家に送ってやろう」「ああ、靴下一足170円だって、安いねえ。子どもすぐにやぶっちゃうもんね。10足選んで頂戴」などと言いながら、あちらこちらのテナントに入っては、着実に購入している。「だって、30%オフでしかもポイント10倍だもの。これはお得よねえ。」だとw。
 

“ちぇ、どんなにお得でもオイラにとってはお得な事ちっともないじゃん”とポーカーファイスを保ちつつも舌打ちする思いでいたら、先方は鋭く察したらしく、「そこに○○(生活雑貨店)があるから、何か見ておいで」という。
 
“ハイ、ハイ”と言われるがままに、その生活雑貨店に入り、物色した挙句買ったものは当直用の洗顔フォーム一個に歯ブラシ1本。それほど欲しいと思うものは見つけることができなかった。
 
その後もカミさんと合流して、ぶらぶらと広い店内を散策した。午後11時頃には、カミさんは大満足でお茶でもして引きあげようということになり、○○珈琲店を探しその前に辿り着いた。驚くことにそのお店前は大行列が出来ていて、入ることを諦めた。いくら有名な珈琲店がわが街に来たからと言って、何も行列を作らなくても・・・・。
 
辺りを見渡すと、昼前の店舗内は大混雑の様相となっていた。
 

それにしても、どうして開店セールにポイント10倍という言葉にヒトって弱いのだろうねえ。さっきから歩き回って観てみるに、新規開店といっても全国展開の大型スーパーでありどの店舗を訪れても似たようなものだもんなあ。そんなに欲しいというものが有りそうにもなかったのだが。
 
ただ景気回復には、消費者の貪欲な勾配がけん引するのは間違いないのだろうから。「開店セール、ポイント10倍」を合言葉にどんどんと消費してくれるのは、我が国の景気回復に貢献してくれているのには違いない。
 
“なんだか変な社会システムの中に組み込まれてしまっているのだなあ、まるでマグロみたいじゃないか。消費社会という海を泳ぎ続けないとボク達の社会システムは死んでしまうなんて”などと、目の前に掲げられている張り紙を見ながらぼんやりと思った。
 
しかし、大して深刻には考えていたのではない。先ほどから満足し超ご機嫌状態となっているわが愚妻を見るにつけ、「これで1週間平穏無事に過ごせるのであれば、開店セール、ポイント10倍ってのも、赦す!」と言うものだ。梅雨の中休み状態の晴天の日だもの、そう難しく考えずイージーゴーイングで行きましょうw。
 
 
そのお店(有名輸入食料品店)から出て来たカミさんがボクを見つけると、「そろそろ混雑してきたし引きあげようか?」という。
 
“え?”「まだ食べ物を買っていないじゃないか?こういう開店の時は、絶対に良い魚を用意しているに決まっているから、晩御飯のおかずを買って帰ろう」と、今度はボクが俄然やる気を出してカミさんを説得。生鮮食料品コーナーを目指す。
 
“なぬ、イベリコ豚の豚トロかいな、良いねえ”とひとパック購入。そして、数メートルそのままスライドし鮮魚コーナーを至る。ありしました(パチパチ)。マグロw。“どれどれ、本日は長崎産養殖マグロか。中トロの一柵1500円?なかなか良いんじゃないのw。その右横には養殖鯛一尾500円w!安いじゃないの”と俄然嬉しくハッピーな気分になる。
 

結局、あれほどヒト様の消費行動を揶揄しながらも、己も物欲と食欲全開にして現代の消費社会のモードに何の衒いもなく便乗。結局はこれらのマグロと鯛をゲットして独り悦に浸っていた。
 
 
夫婦とも大満足で昼過ぎに帰宅。「まだ半日余っているねえ、有意義だねえ」と我が愚かなる夫婦のご機嫌状態は続いていた。
 
昼食後、つい調子に乗って家の掃除機かけを自ら買って出て掃除を敢行。返す刀で次男の定期試験で散らかし放題になった部屋を本人に片付けさせるべく監督し一部手伝った。そして夕方になると、出先からも戻ってくる長男の迎えまで、自ら申し出た。
 
そう、この機会に便乗してボク自身のポイントも普段の10倍稼いでやったのであったw。これを“徳を積む”と一部関係者の間ではスラング用語として使っているw。
 
そして、愚かなる夫婦の束の間の休日は暮れてゆき、めでたくも、その日の夕食は昼間に買ったお魚を中心にして手巻き寿司パーティーとなり、それに便乗して何気なく白ワインを一本テーブルにのっけて、ご機嫌の内に呑みほしたのであった。
 
以上、梅雨の合間の晴れた日曜日に無趣味でおバカな夫婦がお互いにせっせと夫々の思惑を働かせ、夫々のポイントを稼いだというお話でした。お粗末w。
 
おしまい

 

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