2015年4月21日火曜日

クジラの竜田揚げをたらふく喰らうの記

このblogにはくどくどと書かなかったのであるが、最初にトンカツを、そして次にチキンカツのチーズ焼きをほんのお裾分けのつもりで私が作って食べさせたオトコがいる。

 
お世辞も含まれていようが、それなりに「旨かった」と感想を述べた。あれこれ食べ物の話について雑談していると、次第に調子付いて来て(この場合、私がand/orそのオトコが、という問題があろうが、この場合どちらもとしておく)、そのオトコ「次は・・・・、」と鹿肉のカツ食わせろ、イノシシ肉のカツを食わせろなどとうるさいw。「俺に豚だ、鶏だと言わずに、野性味あふれた肉のカツを食わせろ」という。

 
「オレは基本的にジビエ無理だから」と抵抗すると、じゃあ「鯨肉の竜田揚げで良い」と言うではないかw。

 
私が、「このご時世に鯨肉を食べるなんざ、グリーンピースとシーシェパードのポール・ワトソン君を敵に回すことになるぞ。」と軽くいなそうとするも、「何言ってんだ、貴様それでも日本人か!」と絡む。

 
結局、“鯨肉食いたいオトコの情熱”に根負けし、彼の所望どおり鯨肉の竜田揚げを作って食わせることにした。

 
クジラの竜田揚げ、私たち世代以上の人間には非常に懐かしいのではなかろうか?

よく給食に出て来た。ちょっと硬かったけれど香ばしくて、クラスの間でも結構人気があったような記憶がある。それから個人的には、父が鯨肉が好きだったこともあり、我が家の食卓に鯨肉を生姜醤油漬けにして小麦粉の衣をつけてフライパンで焼いたものが、時々出ていた。私もその鯨肉料理は大好物だった。

 
それが小学校を卒業したころから、ほとんど食べなくなった。多分その頃から一般的に学校給食にも日本の食卓にも鯨肉は出なくなったのであろうな。

 
この辺りの経緯や昨今の鯨を巡る背景的話題については、この場合割愛する。そもそも、社会情勢について真面目に議論するためのblogではございませんので、スミマセン。

 
鯨肉を最近見かけることも少なくなったが、時折行く大型スーパーの鮮魚コーナーの片隅に鯨肉のブロックが人知れずw、ひっそりと置かれているのをつい最近チェックしたばかりだったので、“鯨肉情熱オトコ”の要請を受け、先週日曜日午後に鯨肉を購入すべくそのスーパーに赴く。

 
目的の鯨肉(刺身用)はあるには有ったけれど、賑やかな刺身パック詰めが幅を利かせている陳列棚に、たった2パックが置かれているだけであった。日曜日の昼過ぎに多数のお客で賑わう生鮮食料品コーナーに華々しく選り取り見取りの刺身パックが陳列棚を彩っているのに、赤黒い柵ブロックにお客の誰もが見向きもしない。

 
“なんとも惨めな・・・・、何とも憐れな・・・”と、昨今の日本人の食生活における鯨肉の微妙な立ち位置にある種の憐憫の情を覚えずにはいられないが、一方でこのお肉って本当に大丈夫なのかという一抹の心配が生じる。前日そのオトコとの別れ際に、そのオトコ(:あ、ついここは語気が乱れるがw)「鯨肉の竜田揚げ失敗したら、オレは知らんぞ!」などと言うではないかw。この場合の失敗とは①妙に獣臭い ②妙に硬くて噛み切れない、の2点だと思われるが、実際の柵ブロックを前に暫し考え込んでしまった。“このブロック失敗したら、この俺が全部食うのか?それはしんどいなあw。”

 
しばし悩んだが、意を決して鯨肉の柵ブロックをひとパック購入。その他副菜を作るべく少しの野菜を買い足し、職場近くの実家に直行する。

 
午後3時過ぎに実家に辿り着き、早速支度に取りかかる。

 
献立

    鯨肉の竜田揚げ、粉吹かない芋w、玉ねぎのスライスとレタス幾片

    新玉ねぎ、人参、マッシュルームのポタージュ

 

以下作業工程はあくまでも時系列に沿って

 
1) タレ作り

日本酒一カップ、醤油半カップ、みりん半カップ、大き目のニンニク片1個分・同程度生姜の塊を夫々にみじん切りしたもの、砂糖大さじ2杯。それと小さじ一杯程度のごま油を入れて、混ぜた。

 


2) 鯨肉;ミンククジラ約170g:ミンククジラは実際に見たことないなあ。その形が想像できないくらいの柵ブロック。時間がないこともあり、なるべく短時間でタレを馴染ませて臭みを取りたいこと、挙げた際に肉が硬くなって食べにくくなることがけねんされることから、約5㎜の厚さでスライスすることにした。

 
 
 

3) タレに漬けこむ:実際に肉をスライスしてみると、思いの外肉は柔らかくイメージとしてはマグロの赤身を切っているような感覚だった。全部スライスし終えたところで、その肉片を先ほどのタレの入ったボウルに入れて、冷蔵庫で約2時間ほど漬け込むことにした。

 

4) 鯨肉を付け込んでいる間に、ポタージュ作りに取り掛かる。本日用意したものは、マッシュルーム4個に、人参1/2個、そして新玉ねぎ1個。その他、ローリエの葉3枚、水200ml、牛乳100ml、バター小さじ2杯程度、コンソメブロック1個。塩・コショウ各すこしずつ。

 

5) マッシュルームは1/4、新玉ねぎ・人参は適当な大きさに切って、水200ml入れたお鍋の中に投入。その他、ローリエの葉3枚、コンソメのブロック1個が入り、これを15分間煮る。

 

6) 夫々の野菜に火が通ったところで、ローリエの葉をちゃんと取り出した上で、フードプロセッサーに投入し、これは何と云うのかしら、煮込んだ野菜を粉々にする(これって正しい表現でしょうか?)。

 
 
7) ピューレ状になった野菜たちを再び鍋に戻し、牛乳100ml、バター小さじ2杯程度、味を見ながら塩・コショウを入れて味を調える。これでポタージュは出来上がり。

 

 
8) 先ほどの鯨肉を取り出すにはまだ早いので、暫く待つ間にその他の副菜に取り掛かり、玉ねぎのスライスを水にさらし、小吹芋を作る。結果的にジャガイモを塩ゆでしたものの、上手く粉吹かずw。

 
9) タレに付けた始めて2時間経った鯨肉を取り出し、片栗粉を塗す。

 

10)           フライパンにサラダ油を多め(肉片が十分に浸るほど)に入れて熱する。中火にして焦げないよう、そして火を通し過ぎない程度に揚げて、出来上がり。

 

11)           盛り付けたらこんな感じw

 


 

午後6時少し前に出来上がった、鯨肉の竜田揚げと新玉ねぎとマッシュルームのポタージュを仕事の都合で職場に残ってくれているオトコのもとに運ぶ。

さあ、召し上がれ、イチロウ君w。

 
イチロウ、「おお」と言い「では早速」と鯨肉を頬張る。みるみるうちに相好が崩れ、目が潤んでいる。「これうめえなあ。良く出来ている。全然臭くないし柔らかい・・・・・。」

ほっと胸を撫で下ろす。
 
「ポタージュはそれなりに旨いけれど、この鯨の竜田揚げ本当に旨いなあ」という。このオトコが幸せそうに物を喰っている様子をこれまでに見たことがない。「俺ねえ、鯨肉大好物だったんだよね。ポール・ワトソン君が何といおうと、日本人は鯨肉を喰うべきでよなw」だと。御代わりいるかと問うと、イチロウ「是非とも」という。結局全体の2/3はこのオトコの胃袋に収まった。作った甲斐大いにあり。よかった。

 
その後、私自身も試食してみる。うん、旨し。懐かしい味。
 
ふと幼き日におふくろが私を連れて街の魚屋に行き、陳列ケースの右上端に置かれてあった赤黒い肉塊を注文している光景が脳裏に蘇った。

 

おしまい

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