ボジョレ・ヌーボーとしし座流星群…そしてシメ鯖

随分とこのblog記事の更新をしてこなかった。

現実生活がそれなりに忙しかったのと、それから自分の文章に飽き飽きしたことが主たる要因だった。

時折イチロウから、「blogどうした。もう書かんのかw？」などと柔らかい催促を貰ったものだが、「断筆宣言したけんね」などと生返事をして受け流していた。

イチロウとは相も変わらず、詮もなき雑談をほぼ毎日繰り返しているのだが、面白い話題がそうそうある訳でもなく、お互いに「最近、なんか面白い話はあったか？」「旨いもの喰ったか？」などと全くジジ臭い会話をすることが多くなっている。

昨日11月17日の夕方に同様の展開となり、イチロウから同じような問いかけがあったものだから、つい「最近シメ鯖が無性に食べたくてな、時々買って食べているんだ」という話をした。

11月に入り本格的に冷え込みだして、晩酌に熱燗が恋しい季節となった。

その前の週末に、近所のスーパーで日本酒を購入した序でに肴としてシメ鯖のパック詰めをひとつ買い物カートに忍ばせたのであったが、家内から難色を示す返答あり。同女曰く「しめ鯖なんて、私もこどもも食べないよ。夜勤の時に職場に持って行って食べなよ」なぞという。

「わかった、わかった」とテキトウな返事をしてそのまま買って帰り冷蔵庫に無事納め、隙をうかかがって自宅での晩酌の際に取り出そうと目論んだのであったが、結局のところその隙が出来ず、16日朝の出勤時にとうとう家内が私のカバンに押し込んでしまった。16日の晩はそのまま夜勤であったため、職場で夕食の際に、そのしめ鯖パックを取り出してゴハンのおかずとして食したのであったが、これが旨いのなんのw。「京都職人/ 昆布・メカブと野菜のしめさば」（株式会社アイステーション、税込322円也）という商品であったのだけれど、読んで字のごとし、しめさばにこれらのものが丁度マリネ状態でパック詰めされていた。「ああ、ここに熱燗が一合でもあれば、大満足なんだけどな」などと嘆息した。

家族の中で、しめさばが好きなのは私一人のようであり、我が家の者、そして実家すじの親族に勧めてもあまり良い返事が返ってこない。全く不思議だと思うだが、食べ物の好みは理屈ではないので仕方がないか。パック詰めにしたシメさばは、どの生産者の物も独りで食べるには少々多すぎて、誰かもう一人くらいしめ鯖好きがいてくれると仲良く食すことが出来るのに。その相棒がいないとは誠に残念である。

それにしても上の商品は美味かった。あのシメサバを食材にして、例えば、薄切りタマネギとケッパーとを添え、オリーブオイルを少量垂らして、それを薄切りバケットに挟んでサンドイッチにして喰っても旨そうだ。そうそう、クラッカーにクリームチーズを塗って、その上にしめ鯖の1‐２切れ載せて、そして出来ればキャビアを乗っけて食べても旨そうだな。

そんなバカ話をイチロウにすると、イチロウも「うんうん」とまんざらでもなさそうな顔をして興味を示してくれた。彼曰く「じゃあ、シメサバ食品品評会をやってみるかｗ？」などとノリの良い事を言ってくれて笑っている。その日は、イチロウの夜勤日に当たっていたので、前夜半分残しておいたシメ鯖を彼に差し出すと、「どれどれ、ふむ、これは確かにうめえな。野菜が効いてるわ」などと相好を崩して喜んでくれた。

私が、「そうだろ、そうだろ。本当は、熱燗チビチビやりながら、このしめ鯖喰いたかったんだよ」などと気分良く返事をしたところ、イチロウの目が一瞬キラリと光って、「そうだ！今日は11月17日で、ボジョレ・ヌーボー解禁日みたいだな。それから、しし座流星群が今年で1番の観測ができる日らしいぞ。」「これからボジョレ・ヌーボー買って帰りんさい。家のベランダから、夜空眺めてな。ボジョレ啜ってさ。おお、シメサバも買って帰って、シメサバサンドをツマミにしたら良いじゃね？」「オヤジ独りで、家のベランダでゴソゴソやってたら、奥さんが『どうしたの。何呑んでるの？』と聴くだろう？そしたら、ボジョレとシメサバサンドを出して、一緒に呑んだら良いのよ。その微笑ましい・夫婦水入らずの状況をblogに書けば良いじゃんか」等と笑いながら宣うた。

“それは無理っしょｗ！”

確かに、「ボジョレ・ヌーボー」に「しし座流星群」なんざ、季節的にタイムリーな話題には違いないし、そしてロマンチックだ。シメサバを洋風にアレンジしたおつまみもなかなかイケそうだ。それに世の中には、自宅のベランダでボジョレ片手にしし座流星群を眺めながら、何事かを語り合って幸せな気分に浸っているナイスミドルなカップルも沢山いらっしゃることだろう。

“でも、嘘は書けぬw”このblog、誇張や脚色は多々あれど、基本的な部分でウソはなかった筈。

家庭状況・夫婦関係を省みるに、そんなナイスな中年夫婦じゃないものなあw。大酒呑み（夫）vs下戸（妻）、シメサバ好き（夫）vsシメサバ嫌い/ 柿の葉寿司は食べるくせにｗ（妻）、嫁好き/ これは如何にも誇張有り（夫）vs 夫よりも子ども優先/ これは当たり前かw！（妻）それにこれが最大の理由なのだが、寒空の下でボジョレ呑むほど、私はボジョレ好きではない。ボジョレ解禁日なんてどーでも良い。先に書いたけれど、暖かい部屋で熱燗を飲んでる方が幸せだな。

どう考えてもイチロウがプロットした展開にはなりそうもなかった。

そんな雑談をした後で、私はイチロウに挨拶をして帰路に着いたのであったが、試しにクルマに乗り込んだ直後にLineで妻に「これから帰る。ボジョレ買って帰る」と書き送ったところ、間髪入れず「そのなもの買わなくてよろし。試しにキッシュを焼いたら、上手く出来たから、寄り道せずにさっさと帰っておいで」だと返事を寄越しきたｗ。

何事か想って笑いながら“ふー”と一息をついて、フロントガラス越しに夜空を眺めたら、スーパームーンの名残月がぽっかりと東空に浮かんで明るい夜空が広がってい、先ほどイチロウが推奨した「しし座流星群観測」は出来そうもないのであった。

（おしまい）