ちょっと嬉しいことがあった。
2021年5月にHMVのsiteで注文したルイスエサの「luiz eca& cordas」が2025年6月に手元に届いたのだ。私はオーダーしていたことをすっかり忘れていて、着払いの小包がが手元に届いた時には強い不審を感じたのであったが、開封し中の品物を確認し注文した時に、はっきりと思い出したのだった。オーダー後、何度かHMVから商品の入荷が遅れているとのメールが届きキャンセルの意思確認があったのだが、そのままにしておいたのだった。そのうちにHMVからのチェックもせずにいたものだから、いつの間にか4年の歳月が流れていた。この度その荷物を受け取った時には、タイムマシンで送られて来たみたいでとても不思議な気分になった。4年前のオーダー履歴が先方の会社に残っていたことも驚くが、このアルバムに収めれられている曲を知ったのは学生時代だから40年前のこと。親友であるイチロウ氏がそのアルバムをよく聴いていて、彼の部屋や一緒にドライブした折に私も聴かせて貰っていた。次にこのアルバムの存在を意識したのは、2015年ルイスエサのアルバム「Luiz Eca, Piano E Cordas」を手に入れて、その演奏にいたく感動してこのブログに記したところ、次郎氏からコメントを寄せられて、このアルバム名を教えて貰ていた。40年前にイチロウ氏にこのアルバムの存在を教えられ、10年前にジロウ氏にアルバム名を教えられ、その間ずっと手に入れようと画策し、その都度手に入らず諦めてを繰り返していた。それから私が実際にその音源を手に入れるのに足かけ40年の時が過ぎたことになる。私の情念が時空を超えて続いていたことに不思議ささえ感じてしまった。
このアルバムに収められている曲の多くは、色々なコンピレーションアルバムに採用されているので、これまでにも何度も聴いており馴染みのある作品ばかりであるが、あらために全曲を聴き直してみると、其々の曲の美しさとそのアレンジの緻密さを再発見し新たな感動を覚える。ストリングスのオーケストレーションはピアノトリオの伴奏としてだけではなく、旋律に寄り添うだけでなく時に対峙し重層的に緻密に絡みながら彩りと深みを与え室内楽や交響曲に通じるような構築化が施されている。本当にルイス・エサの音楽的世界にみりょうされずにはいられない。
このアルバムは、どの楽曲も素晴らしいのであるが、今回特に印象に残った曲としては、4曲ほどあげておく。
#9 Consolacao
この曲はバーデン・パウエルの作曲だったからしら。アップテンポで躍動的なリズムに美しく内省的なピアノのタッチ、ストリングスが重層的に重なり緊張感と共にある種クールな陶酔感をもたらしてくれているようで、洗練されたアレンジだなと思った。
#11 Quase um adepts
この曲のピアノも繊細で内省的なタッチで演奏、そしてストリングスが旋律に寄り添うように伴奏を紡いだ後に、半ばで旋律をより重層的に引き続いて展開し情感を高めた後に、ピアノに静かに引き渡し静かに終える。
#12 Amonde
この曲は、このアルバムの最後を飾るにふさわしい。ジャズワルツのようなテンポにピアノの可憐な演奏、途中からソロバイオリンがピアノに寄り添うように或は会話するような二重奏に進み、やがて両者をストリングスが包み込むように重なり、やがてどこか彼方に飛翔し消えていくような浮遊感を味わってフェードアウト。美しい。
#2 Imagem
このアルバムの中でも特に有名な曲だと思う。色々なコンピレーションアルバムに採録されていたように記憶している。40年前にイチロウ氏から聴かせて貰ったこのアルバムの中で、最も印象に残った、心に刻印された曲。二人でドライブに出かけた折に前方に広がる景色を眺めながらこの曲が流れてくると、気分が高まりなんとも云えない気分になったものだった。この曲は軽やかなハイハットのドラム、ピアノのサンバのリズムを刻む左手と内省的で華麗な右手の旋律、重層的にゆったりと流れるようなストリングス。静かな情熱があふれ出ているようだ。ルイス・エサの音楽性が凝縮されているように感じられる。
感情的に裏打ちされた音楽的に記憶というのは、脳の奥底でいつまでも保持されて、ふとしたことをきっかけに蘇り、その時のエピソードや映像的な記憶を呼び起こすものなのだなとあらため実感した次第である。
おわり
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